愛する人を殺された男の壮絶な復讐劇を描いた韓国映画『悪魔を見た』のジャパンプレミアが、2月9日に新宿ミラノ座で開催され、主演のイ・ビョンホンとキム・ジウン監督が舞台挨拶を行った。劇場には女性ファンが詰めかけ、ビョンホンが姿を現すと大きな拍手が沸き起こり場内は興奮に包まれていた。
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・[動画]上映禁止ギリギリの過激さは、監督?それともビョンホンのせい?
あまりに残虐な描写のためR18指定となった本作。復讐の鬼と化したビョンホンにショックを受けたであろうファンを前に、ジウン監督は「このように激しくおぞましい映画をお見せすることになって申し訳ないです」と詫びてから、「この映画は復讐の“行為”ではなく“感情”を描いた作品。私はこの作品で、愛する人を失った男の凄惨で壮絶な復讐劇を撮りたかった」と映画に込めた思いを語った。
そんな問題作に出演した理由を聞かれたビョンホンは、「監督からシナリオを渡され一気に読んだのですが、そのときは非常に痛快で爽快な気持ちになる復讐劇だと感じました。でも、出来上がった映画を見ると全く違うものになっていて」と苦笑い。さらに司会が「初めて映画を見たときの感想」を聞くと、「極端なくらい過激な映画だなと思った」とビョンホン。
これについてジウン監督は、「映画で描いたようなことをそのままシナリオに書いたら、イ・ビョンホンさんはきっと出演してくれないと思ったので、シナリオは少し控えめにしておきました」と明かしてから、「でも、彼があれほど過激な演技を見せてくれるとは思っていませんでした」と感慨深げにコメント。そして「この映画を残虐だと感じたのなら、それはリアルに演じきったイ・ビョンホンさんとチェ・ミンシクさんの演技のたまものです」と、過激になったのはビョンホンのせいでもあると話し客席を笑わせると、ビョンホンは苦笑いしながら「すみません」と謝っていた。
またビョンホンは、「韓国では最初の編集バージョンは上映禁止と判断されてしまい、そんなことが2回あった。これは初めてのことでした」と、本作が過激すぎて上映禁止の危機にあったことを告白。そして「この映画は暴力的で残忍な映画ですが、それは今の危険な時代をありのままに映し出した映画だと思います。映画に描いたようなことは誰にでも起こり得ること。だからこそ、みなさんも恐怖を感じたのではないでしょうか」と、社会派な一面もある作品であることを示唆していた。
これまで『甘い人生』(05年)、『グッド・バッド・ウィアード』(08年)でタッグを組んできた2人。個人的にも仲がいいというビョンホンについてジウン監督が「彼のしっとりと潤んだ眼差しと、人々を魅了する甘い声は、俳優としての素晴らしい長所。これは努力して得られるものではなく、持って生まれたもの。彼は素晴らしい資質を備えていると思います」と天性の魅力を讃えると、劇場は大きな賛同の拍手に包まれた。
最後の挨拶では「この映画では、愛する人を失った男の心の傷、苦痛を描きました」と監督。ビョンホンは「主人公の行為は正しかったのか、いや、法の審判に任せるべきではなかったのかなど、色々なことを考えさせられる作品です」と、衝撃的なだけではなく奥深さのある作品だと強調していた。
『悪魔を見た』は2月26日より丸の内ルーブルほかにて全国公開される。
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