地味でアナログながらゾッとする!…60年代に実在したスパイツールの数々
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スパイサスペンス『クーリエ:最高機密の運び屋』で再現
1962年キューバ危機の舞台裏で繰り広げられた知られざる実話を基に、核戦争回避のために命を懸けた男たちの葛藤と決断を描いたスパイサスペンス『クーリエ:最高機密の運び屋』が9月23日に公開される。このたび、アット驚く60年代当時に実在したスパイツールがわかる場面写真が公開された。
本作品はあくまで実話を基にしており、007のような心躍るようなスパイツールはほとんど登場しない。むしろ、こんなものが実際にあったのか! ということに得も言われぬ恐怖を感じるだろう。ドミニク・クック監督は、こうしたスパイツールについて徹底的なリサーチを行ったという。ひとつずつ見ていこう。
盗聴防止装置
広々とした部屋の中のど真ん中に、天井や床から完全にフローティングされた密閉空間。これは、振動を一切シャットアウトすることで盗聴を回避する、在モスクワ米国大使館内に設置された盗聴防止装置だ。通称「金魚鉢」と呼ばれ、本作品ではある極秘計画を伝える際に使用される。現在の在モスクワ日本大使館(2007年完成)には、より大きな盗聴防止装置があると言われている。
クック監督は「最初に使われていたのはモスクワの米大使館で、盗聴器がたくさん仕掛けられていて秘密の会議ができないために作られた。ただ、写真資料として残っていなかったので、想像力を働かせて映画オリジナルのデザインで作ったんだ」と語る。
テレックス
2000年代前半頃まで商業通信手段として主に用いられていた機器。暗号文を送ることも可能だったことから、本作品では機密情報を送信する機器として登場する。5つ穴の「穿孔テープ」をカードリーダーに読み込ませると文章が出力される。のちにファックスの登場で急速に廃れ、現在では一部の軍用通信で残っているのみだそうだ。
超小型カメラ・ミノックス
アナログ時代に最高峰といわれていたカメラがこのミノックスだ。本作品では、ソ連側の協力者であるペンコフスキー(メラーブ・ニニッゼ)が、機密情報を撮影しアメリカ側に渡すために使う。精巧な作りと素早く撮れる実用性に優れる。
クック監督は「実際に使われていたんだ。時代を先駆けるような高性能なカメラで、あんなに小さいのに本当に良質なんだ」と語る。
仕掛けテーブル
一見ただのテーブルに見えて、実は引き出しの側面にさらに隠し引き出しがあるからくりを備える。いかにも機密情報を扱うスパイっぽい代物だ。
筆談ボード
予告編で「常に盗聴に警戒を」というセリフが登場するように、本作品では、筆談による会話や、大音量の音楽を流し耳元で会話するシーンなどが描かれている。ファンシーな星マークのシールで飾られた筆談ボードと、緊張感あふれる場面のギャップもまた面白い。実はこのシーン、重要な局面へと繋がっていくのだが、その一連の流れは、平凡なビジネスマンだったグレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)がまるで本物のスパイのように見える必見のシーンとなっている。
タイピン
CIAのヘレン(レイチェル・ブロズナハン)からグレヴィル・ウィンに渡されるネクタイピン。これを身に着けることで、ソ連側の協力者オレグ・ペンコフスキーにとっての「クーリエ(運び屋)」としての目印となる。ところがスパイ素人のウィンは、このタイピンをまじまじと見定め、「毒矢を出せるとか?」と真顔で質問する。当時のスパイのイメージとウィンの愛嬌ある人柄がうかがい知れるひとコマだ。
キューバ危機回避に一役買ったのは無名のセールスマンだった!
本作品の舞台は、1962年10月。アメリカとソ連の対立が頂点に達し「キューバ危機」が勃発した。この危機に際し戦争回避に決定的な役割を果たしたのは、実在した英国人セールスマンのグレヴィル・ウィンだった。スパイの経験など一切ないにも関わらず東欧への出張が多かった彼は、CIA(アメリカ中央情報局)と MI6(英国秘密情報部)の依頼を受けてモスクワに飛ぶ。国に背いたGRU(ソ連軍参謀本部情報総局)高官との接触を重ね、そこで得た機密情報を西側に運び続けるが──。
『クーリエ:最高機密の運び屋』は、9月23日に公開される。
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