思春期の女の子が抱える不器用さ、悲惨さ、偉大さにハッとする…映画賞27冠『スクールガールズ』
母子で共有したい、思春期の女の子の心情
ベルリン国際映画祭出品と新人監督賞・クリスタルベア賞ノミネートを皮切りに、スペイン映画最高賞ゴヤ賞ほか映画賞27冠に輝く『スクールガールズ』が9月17日より公開される。それに先立ち、新しい場面写真が公開された。
・オリンピックの熱狂への違和感から始まった──保守的世界に生きる少女たちの前進描く珠玉作
公開されたのは、口紅が印象的なカットのほか、劇中重要な役割を果たすステレオを抱える主人公セリアの姿など、本作品の舞台である1992年のスペイン・サラゴサに住む10代女の子たちの青春時代を彷彿させるショットの数々。
セリアを演じたアンドレア・ファンドスは、「撮影に入る前に、どんな時代だったか説明を受けました。教育やテレビ番組の内容、クラブでどんな音楽がかかり、どうやって踊っていたかも含めてです。今では考えられないことも多く、驚きもありました」
92年が舞台になったことについて、ピラール・パロメロ監督は「自伝的な映画ではありませんが、92年に私がセリアの年齢、つまり主人公の年齢だったことと重なります。バルセロナオリンピックやセビリア万博が開催され、スペイン近代史においても非常に重要な年でもあります」と語る。
また、全編にわたり、作品の舞台であるサラゴサで行われた撮影に関しては、「撮影中にチーム全体で心がけたことは、女の子たちを助け、自由を与え、彼女たち自身でいられるようにすることでした。劇中出てくるほとんどの子たちにとって、映画に出演するのは初めての経験でしたが、とても意欲的で喜んで参加してくれました。最終的にはキャラクターを演じるのですが、そのキャラクターは彼女たちのありのままの姿に基づいています。それぞれの個性、反応や笑い方、性格など、ほぼそのままスクリーンに映し出されています。彼女たちがとても勇敢で、とても寛大だったおかげだと思います」と振り返った。
観客に対しては、「何よりもセリアが生きていることを感じてもらい、彼女と一緒に生きてもらいたいと思っています。思春期への扉を開ける過程での不器用さや悲惨さ、偉大さをもう一度感じてもらいたいです。願わくば、ご自身の思春期への道のりや、ご自身の両親にも10代の姿があったことに思いを馳せてもらえたらと思います」とアピールした。
90年代、スペイン。母親と2人で暮らす女の子の物語
本作品の舞台は、1992年バルセロナオリンピック開催に湧くスペイン。サラゴサの修道院に通う、母親と2人暮らしのセリアの物語。バルセロナからやってきた大人びた転入生のブリサの影響で、新しい音楽、新しい遊びを知り、友人の姉たちともつるむようになる。しかしいつもの仲間とのゲーム中、ブリサに掛けられたある言葉をきっかけに、セリアは、母親が決して話そうとしない真実と向き合うことになる──。
『スクールガールズ』は、9月17日より公開される。
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