“人の心の感情と向き合う”ことの大切さ語る
有村架純と志尊淳が、俳優としてでなく、ひとりの人間として“エッセンシャルワーカー”と呼ばれる保育士や介護士といった人たちの現状をレポートするドキュメンタリー『人と仕事』が、10月8日に公開される。このたび、有村と志尊がエッセンシャルワーカーの仕事を取材・体験する場面写真が公開された。
公開された場面写真は、有村と志尊が農家や児童相談所の人々の職場を訪れ、彼らの仕事を取材・体験している様子を捉えたもの。
社会的な基盤を支えるために必要不可欠の労働者を指す「エッセンシャルワーカー」という言葉は、コロナ禍で広く浸透した。医療や福祉、保育や第一次産業、行政、物流などに従事する者で、その多くは在宅勤務すなわち「テレワーク」が難しい。したがって、人との接触が避けられないこうした人々は、コロナ禍の影響で心身および生活で打撃を受けている訳だ。
冒頭の写真は、ある農家の元を訪れた2人が実際に作物の収穫を体験しているショット。人々の生活の基盤である「食」を支える農家の仕事を実際に体験すべく、この日は落花生の収穫とその仕分け作業を担った。
さらに2人は、コロナ禍が農家に与えた影響についても取材。緊急事態宣言発出の影響で出荷先などがなくなってしまい、苦しい経営状況に立たされた農家のリアルな声を聞いた。
また、有村は都内の児童相談所を取材。2020年に警察からの児童虐待通告は過去最多を記録した背景には、コロナ禍による環境の変化をきっかけとする家族間不和があると職員から聞かされる。
児童相談所という仕事について取材を終えた有村は、「様々な人の心の感情と向き合うことになる児童相談所の仕事は、心を表現する役者という仕事にも通ずる部分がある」と取材の中で語っている。
本作品では、いわゆるエッセンシャルワーカーにとどまらず、人と触れ合うことで成立する職業に従事する人も取材している。
志尊は、このコロナ禍で差別や偏見を向けられた「夜の街」のホストクラブの経営者を取材。従来から偏見が多かった夜の仕事に従事する人々がコロナ禍で何を感じているのか、生の声に真摯に耳を傾ける志尊の姿が切り取られている。
コロナ禍の“負”を押しつけられている人々に寄り添いたい
本作品は、有村と志尊が出演し、森ガキ侑大監督、河村光庸プロデュースで劇映画を制作する予定がコロナ禍で中止となり、急遽代案として企画されたドキュメンタリー映画だ。
森ガキ監督は、大学時代にもドキュメンタリーを手掛けたものの、現実を直視する辛さにもう2度とやるまいと思っていたという。しかし、「こんな時だから作る理由があると直感した」と語る。
そして、エグゼクティブプロデューサーの河村は、コロナ禍によって「“個の自立”は“自助”にねじ曲げられ、人々は“自己責任”を強いられ、結果“個”の分断が引き起こされ、“社会の分断”へと拍車がかけられた」と言う。
つまり、“エッセンシャルワーカー”と“リモートワーカー”が分断され、エッセンシャルワーカーにコロナで生み出された“負” が背負わされていると、現状を憂う。
そして、「この映画は、仕事をしている人の誰もにやさしく寄り添っていこうとチャレンジをしています。そして、この困難の中、人と仕事の本質を垣間見、時代の変化を実感していただけたらと願っております」と結ぶ。
『人と仕事』は、10月8日より3週間限定で全国公開される。
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