スポーツ紙記者によって明かされた衝撃の医療汚職ドキュメンタリー
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10・2公開『コレクティブ 国家の嘘』本編映像が公開
ルーマニアの巨大医療汚職事件を取り上げ、本年度アカデミー賞で国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞の2部門にノミネートされたドキュメンタリー映画『コレクティブ 国家の嘘』が、10月2日から、全国で公開される。
ルーマニア・ブカレストのライブハウス“コレクティブ”で2015年10月に実際に起こった火災を発端に、明らかになっていく製薬会社や病院、そして政府や権力へと繋がっていく衝撃的な癒着の連鎖。本作品は、命よりも利益や効率が優先された果てに起こった国家を揺るがす巨大医療汚職事件の闇と、それと対峙する市民やジャーナリストたちを追った、フィクションよりもスリリングな現実を捉えた映画だ。
“まるでリアル『スポットライト 世紀のスクープ』だ”とも評されるこの作品は、命の危険を顧みず真実に迫ろうとするジャーナリストたちの奮闘に思わず手に汗握るだけでなく、日本をはじめ、世界中のあらゆる国が直面する医療と政治、ジャーナリズムが抱える問題に真っ向から迫っており、ドキュメンタリーでありながら本年度アカデミー賞のルーマニア代表として選出され、国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞の2部門でノミネート。その他、世界各国の映画祭で32もの賞を獲得した。
この度、スポーツ紙の記者が事件の裏に隠された“真実”にたどり着いた様子を捉えた、衝撃の本編映像が公開された。
“コレクティブ”火災で深刻な火傷を負った患者の多くはルーマニア国外の病院に移送され、ルーマニア国内の病院では比較的症状の軽い患者が治療を受けていた。政府は「病院はヨーロッパ基準で最高の治療を行っています」などと説明する一方で、症状が深刻でないはずの患者が国内の病院で次々死亡していった。
その理由に迫ると、ある噂をキャッチしていた地元のスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」の編集長カタリン・トロンタンたちは、いち早く調査を始めていた。この映像は、ルーマニアで治療を受ける患者が火傷治療の設備が十分でないため衛生的でない環境にさらされる中で、トロンタンと記者たちが、彼らのオフィスで製薬会社が病院に納めている消毒液が薄められているという驚愕の事実を確認し合うシーンだ。
その事実を複数の情報源から突き止めた記者は「細菌じゃなく人を殺してる」と語り、殺人には加担できないとその製薬会社を辞めた情報源もあるという。
そして記者のひとりが「多くの読者はこう思うでしょうね『ラボで消毒液の分析を』と」と、事実解明への次なる一手を提案。カメラは、真実にたどり着いた記者たちが言葉を失いながらも会議を続ける、彼らの内面をうかがえる表情を至近距離から捉えていく。
このシーンの後、彼らはこの製薬会社が作った消毒液を分析し、そのスクープ報道により事件は新たな局面を迎えることになる。
ナナウ監督「忖度なき報道をする彼らの声を聞くことは自然な決断」
アレクサンダー・ナナウ監督は、以前から忖度なき調査報道に定評のあった「ガゼタ・スポルトゥリロル」の調査チームが火災についていち早く取材に乗り出したことを知り、トロンタンに密着したい旨をオファー。しかし、取材で得た情報や告発者、そして自分たちの身の安全を守るという理由で当初は断られたという。
後に彼らから信頼を勝ち得た監督は、この事件の調査報道を牽引したガゼタの取材チームに密着。撮影もほぼひとりで行った監督は、同作がフィクション映画ではないかと思わず錯覚せざるを得ないような驚愕の場面に次々と立ち合い、カメラに収めている。
監督は、当初は火災の犠牲者や家族の心境を理解したいと彼らに寄り添う立場で撮影をしていたが、「同じ状況が自分の人生を襲うかもしれないと考え、もっと理解し、深く掘り下げ、手を伸ばし、隠された向こうにあるものを撮影したいと思うようになりました。事件の公式見解を疑うごく少数の人たちの声に耳を傾けていくことは、自然な決断でした。そこで火災の直後から、事件における当局の役割を調査し始めた、『ガゼタ・スポルトゥリロル』紙の記者たちからなる調査チームのオフィスは、私が理解したいストーリーの撮影をするには最適な場所だったのです」と、トロンタンたちに密着することにした理由を語っている。
『コレクティブ 国家の嘘』は、10月2日から全国で公開される。
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