熊井啓作品といえば欠かせない奥田瑛二
『帝銀事件 死刑囚』でデビュー、三船敏郎と石原裕次郎が共演した『黒部の太陽』といった社会派作品で名を挙げ、ベルリン国際映画祭銀熊賞審査員グランプリ『海と毒薬』やヴェネチア国際映画祭銀獅子賞『千利休 本覺坊遺文』を遺した名監督・熊井啓。その生誕90周年企画が今年開催される。なお、熊井監督は1930年生まれだが、コロナ禍で一年延期された経緯がある。
目玉となるのは、「熊井啓映画祭2021」と題した上映会。10月12日から19日まで、東京・池袋の「新文芸坐」で、1日2本が上映される(そのほかにモーニングショーやアンコール上映が設定される日もある)。
10月16日には、『海と毒薬』で初めて単独主演し、『千利休 本覚坊遺文』では日本アカデミー主演男優賞を受賞、現在監督としても活躍する奥田瑛二がトークショーを行う。当日はこの2本が上映され、終映後引き続き同じ席で観覧する“指定席特別上映”となる(詳細は、新文芸坐HPを参照のこと。https://www.shin-bungeiza.com)。
ちなみに今年、書籍「フィルムメーカーズ23 熊井啓」の刊行が予定されており、その責任編集に奥田が就任している。
そのほかにも、CS放送の映画「チャンネルNECO」で10月に『日本列島』と『日本の黒い夏ー冤罪ー』をそれぞれ2回放映予定であるほか、10月24日には長野「安曇野市豊科交流学習センターきぼう 熊井啓記念館」にて「熊井明子講演会・熊井啓上映会」の開催も決まっている。
[熊井啓映画祭・上映作品]
『帝銀事件 死刑囚』(64年)監督デビュー作
『黒部の太陽』(68年)キネマ旬報4位
『地の群れ』(70年)キネマ旬報5位
『忍ぶ川』(72年)キネマ旬報1位・監督賞・脚本賞、毎日映画コンクール日本映画大賞・女優演技賞、芸術選奨文部大臣賞
『朝やけの詩』(73年)
『サンダカン八番娼館 望郷』(74年)キネマ旬報1位・監督賞 ベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)
『お吟さま』(78年)
『海と毒薬』(86年)ベルリン国際映画祭銀熊賞審査員グランプリ、キネマ旬報1位・監督賞、毎日映画コンクール日本映画大賞・監督賞・男優主演賞
『千利休 本覺坊遺文』(89年)ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞、キネマ旬報3位、毎日映画コンクール日本映画優秀賞、日本アカデミー賞主演男優賞
『式部物語』(90年)モントリオール世界映画祭芸術貢献賞、キネマ旬報助演女優賞
[映画・チャンネルNECO 放映予定]
『日本列島』(65年)10月14日7:50〜、10月26日6:00〜
『日本の黒い夏ー冤罪ー』(01年)10月12日7:50〜、10月18日21:00〜
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