ゲリラとして生きる少年少女のサバイバル合戦…美しくも狂気に満ちた顛末が頭から離れない!

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MONOS 猿と呼ばれし者たち
(C)Stela Cine, Campo, Lemming Film, Pandora, SnowGlobe, Film i Väst, Pando & Mutante Cine
MONOS 猿と呼ばれし者たち
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MONOS 猿と呼ばれし者たち
MONOS 猿と呼ばれし者たち

「タガを外された若者たちの暴走が、狂気を伝播し、暴力の濁流を生む」

サンダンス映画祭など世界の映画祭の計30部門で受賞した映画『MONOS 猿と呼ばれし者たち』が、10月30日に公開される。このたび、新しい場面写真が公開されると共に、各界著名人からコメントが寄せられた。

公開された場面写真は、草木が生い茂るジャングルの山奥の大自然で、銃を携える若者たちが叫び、戦う姿などを捉えた6枚のショット。

モノスに監視される人質を演じたジュリアンヌ・ニコルソン、仲間に対し次第に支配的になっていくビッグフットを演じたモイセス・アリアスやモノスたちの凄まじい表情を切り取ったショットのほか、雲海を見下ろす山頂や、鬱蒼としたジャングルの神々しい大自然など、望まずして過酷な状況に追い込まれながらも奮闘する思春期の若者たちの心境をも浮かび上がらせるものとなっている。

MONOS 猿と呼ばれし者たち

・その他の場面写真はコチラ!

少年少女のサバイバル合戦を超え、現代の闇を浮かび上がらせる

また、著名人からの賞賛コメントも相次いだ。

『ディア・ハンター』『地獄の黙示録』を初めて見た時のように圧倒され、魅了され、しばらく呆然自失したと語るのは、映画音楽作曲家/演奏家の世武裕子。

「映画の長い歴史において、未だこんな新鮮な印象と衝撃を与えられる作品が生み出されることに、深く感動する」とコメントしている。

『メタルギア』シリーズで知られるゲームクリエイターの小島秀夫は、無人島に置き去りにされた少年たちの末路を描く小説「蝿の王」の現代版に例え、次のようにコメントした。

「タガを外された若者たちの暴走が、狂気を伝播し、暴力の濁流を生む。それは、奔放であり、無邪気でもある。恐怖が豚(ヒト)の首にたかり、異形の猿(モノス)に貶める異質な蝟集(いしゅう)音。美しくも残酷なその羽音は、ミカ・レヴィの劇伴によってさらに増幅される。映画が終わっても、その羽音は消えない」

ジャーナリストの丸山ゴンザレスは、本作品はフィクションでありながら、現実の世界の闇を突きつけてくると印象を語る。

「子どもを兵士として育成することは残酷だ。自意識を奪い、自ら判断を下せないが戦闘力は高い忠実な獣を作り出すためだ。この悲惨な現実はいまだに世界を蝕んでいる」とコメントした。

映像ジャーナリストの伊藤詩織は、本作品をどこかで聞き覚えのあるストーリーだと指摘する。

「生きのびるために『組織』になり、家族を守るために『組織』は家族になる。そして『組織』に殺される。そして見覚えのあるその瞳が頭から離れなくなってしまう映画だ」

音楽から衣装に至るまで隙のない“傑作”

音楽ユニットDos Monosの荘子itは、ランボーを軸に「欧州からアフリカへ渡った“Rimbaud”、ヴェトナムからアメリカへ帰還した“Rambo”、そして猿の群れから人里へ下りる“Rambo”。彼岸を焼き付けた新たなランボーの眼が此岸に持ち込まれる」と本作に通底するイメージを指摘した。

イラストレーターのEd TSUWAKIは、ミカ・レヴィによる劇伴に注目。「間を雄弁に操った音像がとても素晴らしかった。高地の空気の薄さと隔絶された生命たち、密林の濃密な湿度に潜む得体知れぬ気配、そのいずれもシャーマニックに鳴らした彼女の映画音楽にこれからも注目したい」と絶賛した。

ファッションデザイナーの落合宏理は、衣装に注目。「この計算され尽くされた、カオスの重なりの表現が途方もなく強く鈍い美しさとして映し出され圧倒されました。この映画はモードだと思う」とコメントしている。

少年少女版『地獄の黙示録』ともいえる衝撃!

本作品は、南米・コロンビアで50年以上続いた内戦を下敷きに、外界から遮断された世界で生きる思春期の少年少女兵の姿を、幻想的な世界観とともに描く。アレハンドロ・ランデス監督の3作目で、各国の映画祭で63部門にノミネートされ、その内サンダンス映画祭やBFIロンドン映画祭など、計30部門で受賞した。

世間から隔絶された山岳地帯で暮らす「モノス(猿)」と呼ばれた8人の兵士たちは、「組織」の指示のもと、人質であるアメリカ人女性の監視と世話を担っている。ある日、「組織」から預かった大切な乳牛を仲間のひとりが誤って撃ち殺してしまったことから、不穏な空気が漂い始める。ほどなくして「敵」の襲撃を受けた彼らは、ジャングルの奥地へ身を隠すことに。仲間の死、裏切り、人質の逃走……。極限の状況下、”モノス”の狂気が暴走しはじめる。

出演するのは『キングス・オブ・サマー』の若手実力派で写真家としても活躍するモイセス・アリアス、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』のジュリアンヌ・ニコルソン。アリアス以外のMONOSメンバーを演じたのは、コロンビア全土から集まった800人以上の中から選ばれた演技未経験の精鋭たち。アンデス山脈の高地で行われた過酷な訓練と演技オーディションを経て出演を果たした。また、実際のゲリラ組織「FARC」を脱退したことで賞金首となった過去をもつ元戦闘員がMONOSの司令官であるメッセンジャー役を演じている。

『MONOS 猿と呼ばれし者たち』は、10月30日に公開される。