姥捨山に捨てられた50人の老女が懸命に生きる姿を描いた映画『デンデラ』の完成披舞台挨拶が6月6日に丸の内TOEIで行われ、キャストの浅丘ルリ子、倍賞美津子、山本陽子と、天願大介監督が登壇した。
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主人公を演じた浅丘は「長い準備期間と撮影に入ってからの45日間、大変といえば大変でしたが、たくさんの方に温かい気持ちをいただき、あまり寒くはありませんでした。でも、1月10日はマイナス11度、寒いというより痛かったです。そうしたなか、100人近いスタッフと、50人の女で撮影に参加でき、とても幸せでした」と挨拶。
倍賞は「何か久しぶりです。映画館にこんなにたくさんの人がいるということがすごく嬉しい」と話すと、試写会での舞台挨拶は初めてという山本は「久しぶりの映画で戸惑いもありました。でも、先輩の浅丘さんとご一緒でいろいろとお話をすることもでき、リラックスして撮影に臨むことができました」と語っていた。
こうしたベテラン女優を相手にメガホンを取った天願監督は「雪のなかの撮影も初めてなら、出演者のほとんどが女性で僕より先輩というのも初めて。どうなるかと思ったが、ここ(山形県庄内地方)で撮って良かったと終わってからつくづく思った。今年は48年ぶりの大雪で、その時期にここで撮ると聞いた地元の方から『お前ら頭おかしだろ、帰れ』って言われたが、帰らずに撮って良かった」と振り返った。
また、司会からはマイナス11度にも及ぶ寒さをどうしのいだかという質問が。これに浅丘は「カットの声がかかると、すぐに5〜6人のスタッフが寄ってきて、口を暖め、耳を暖め、湯たんぽを抱かせてくれる。寒いと感じる間もなかった」と回答。
倍賞は「みなさんホカロンの貼り方がすごかった。最高が草笛さんで二十何枚。途中、暑くなって毎回(貼ったホカロンを)取っていたのを覚えている」とコメント。浅丘は「全部で2万5000個のカイロを使いました」と付け足していた。
本作は『楢山節考』同様、姥捨ての物語。天願監督の父である今村昌平監督は83年に『楢山節考』でカンヌ映画祭パルムドール(最高賞)に輝いている。親子で同じテーマに挑んだことについて天願監督は「『楢山節考』が捨てられるまでを描いたのに対し、こちらは捨てられた後を描いている。どちらも一種の寓話で、あまり『楢山節考』を意識せず、最初に山に捨てるところだけはちょっとアレンジを加えてやってみた。(この映画では)捨てられた後、どうやって生き残り、何を感じて、なぜそれでも生きていこうと思ったのかを、みなさんと一緒に模索していった」と語っていた。
『デンデラ』は6月25日より全国公開となる。
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