「脳みそが、海に沈んでいきそうな感じ」…72歳、唯一無二のダンサーはなぜ記憶に残るのか?
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田中泯のダンス、生き様、ルーツに迫る『名付けようのない踊り』
犬童一心監督が、世界的なダンサーとして活躍する田中泯の踊りと生き様を追った映画『名付けようのない踊り』が、来年22年1月28日に公開される。このたび、予告編が公開され、著名人からコメントが寄せられた。
予告編は、72歳の田中がオイルを全身に纏いながら踊る衝撃のシーンから始まる。
女優・田中裕子のナレーションをバックに披露される踊りの映像の合間には、43年前にパリ秋芸術祭で衝撃の海外デビューを果たした当時の写真や、世界をどよめかせた裸体での踊り、そして山村浩二のアニメーションで描かれた子ども時代の記憶が現れ、田中をよく知らない人でも、彼の辿ってきた足跡を振り返ることができる。
「脳みそが、海に沈んでいきそうな感じ」
ぶれない生き方が徐々に紐解かれていくその瞬間、アルシオーネの「愛のサンバは永遠に」の音楽にのせて浮かび上がる「踊る身体は野良仕事で作る」の文字。
「いい匂いだ」野菜の香りをかぎながら農作業をする田中が顔を覗かせ、踊っている時とはまた別の表情も垣間見える(https://youtu.be/ELXE7PGOBT8)。
宮沢りえ、田中泯の前で踊り「怖くなってわんわん泣いてしまった」
今回の予告編公開のタイミングで、著名人がコメントを公開した。
宮沢りえは、「泯さんから、踊ってごらんというお言葉を真に受けてしまった私は、plan-Bで泯さんの目の前で体現することになった。泯さんの眼差しとコトバで、みるみるうちに心の色んなものが剥ぎ取られて、繕うものを失って怖くなった私は、わんわん泣いてしまった。その時、『さぁ、ここからだ』と泯さんが嬉しそうな顔をした気がして、自分の中に、本当の気というマグマが湧いてくるのを感じた」と田中の持つ気迫を表現した。
役所広司は、「田中泯さんの圧倒的な存在感の秘密が、この映画を見て少しだけ見えたような気がする。一瞬も目が離せない踊り、彼の中で何が起こり、何が見えているのか? 揺るぎない集中力と隙のない美しい肉体は本物の芸術品!」とその魅力に触れた。
オダギリジョーは、「泯さんに会うたびに、勝手に喝を入れてもらっている。『ぼんやり生きてないか?』『自分の身体や感覚を甘やかしていないか?』泯さんは決してそんなことは言わないが、心の中で勝手に怒られている。いや、怒られるだけじゃない。人間は生きるだけで芸術なんだと思わせてくれる」とその影響力に舌を巻く。
大泉洋は、「泯さんという人はなんでしょうねー。もう、本質だけの人、物事の本質しかない人みたいなイメージでしょうか。薄暗い光の中、なんの音もなく、酷くゆっくりと、たまに激しく踊る泯さんを見て、何故か目が冴え、頭がすっきりする感覚になるのは、それが人間の本質を見せているからなのかなと思うのです。泯さんが会ってくれてるということは、自分もそこそこ真面目に生きれているのかな? と思わせてくれる、そんなありがたい人です」とその人となりを説明した。
笑福亭鶴瓶は、「映画『たそがれ清兵衛』を見て、“この人だれ?”と思ったほど印象的で、それからずっと気になってて、直接お会いしたのは映画『アルキメデスの大戦』の本読みの時です。とにかくしゃべりやすくて、すぐに電話番号も交換させてもらって仲良くなりましたね。バラエティにほとんど出られないので、見ているこっち(側)が真っ白の状態で見れてどんな役もハマっているというか、しっくりくるんです。特に映画『いのちの停車場』の父親役と映画『HOKUSAI』の葛飾北斎は、直接電話で話したくらい素晴らしかったです。こんなに真っ白の状態で見れる俳優はめずらしいですね。ほんと刺激を受けています」と俳優としての力量にも絶賛。
そんな田中について、山田洋次は「その生き方すべてがアートなのだ。 映画『たそがれ清兵衛』での出会いの時から、ぼくはそう思っている」とコメントした。
金沢21世紀美術館館長のキュレーター長谷川祐子は、「映像で田中泯さんのさまざまな場での踊りの展開をみて、『場踊り』の意味が少しだけわかったような気がした。おそらく彼は何の予見もなくその場に立って踊り始める、場所が彼に『動きという生命』をあたえる。その生命は、田中泯というヒトには属さない。『生命』はその場の空気の中に生まれて、そこにいるあらゆるもの、観客、ネコ、蚊や木々や鉄くずの気配を吸い込み、それらに自らの呼気を吹き込み、生命を共振させて、そして終わる。現れては消える生命は名前をもたないゆえに、その場を共有したものの記憶に生き続ける」とその魅力の根源を説明した。
美波は、「田中泯さんの表現を通し、私はずっと探し求めていた世界を垣間見た。演じるのではなく存在すること。物質そのものに入り込み、同化していくことなのだと。土に還る必要がある現代、この映画はそのガイドになっている」と本作品の魅力を説明した。
橋爪功は、「泯さんから時折、野菜たちが届く。就中、じゃがいもが凄い! 我が家では『みんじゃが』と呼んで、敬意を表して当分の間、家の玄関に居て貰うことにしている」といったエピソードを語った。
田中泯と共に旅するような新感覚映像体験
本作品は、1978年にパリデビューを果たし、世界中のアーティストと数々のコラボレーションを実現するなど、現在までに3000回を超える公演を実現してきた田中泯のダンスを、『メゾン・ド・ヒミコ』への出演オファーをきっかけに親交を重ねてきた犬童一心監督が、ポルトガル、パリ、東京、福島、広島、愛媛などを巡りながら撮影し、アニメーションなども交えながら描いたドキュメンタリー作品。同じ踊りはなく、どのジャンルにも属さない田中のダンスを間近に感じさせながら、見るものの五感を研ぎ澄ます新たな映像体験をもたらしてくれる。
『名付けようのない踊り』は、来年22年1月28日に公開される。
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