イタリアで製作され大ヒット。54週にわたる超ロングランを記録し、社会現象まで巻き起こした『人生、ここにあり!』が、7月23日より全国順次公開される。一体、どんな映画なのか? これが一言では言い表せないのだが、人間ドラマでもありコメディでもあり、社会派作品でもあり娯楽作でもあり……要するに、マーケティングに基づいて作られた薄っぺらで観客をナメたような「大作」とは異なる、多面的な輝きを持った作品だ。
・[動画]『人生、ここにあり!』予告編
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舞台となるのは1983年のミラノ。独善的すぎるきらいはあるものの正義感の強い労働組合員の主人公ネッロは、あまりに革新的な考え方と熱血漢すぎる行動から、所属していた組合から異端児扱いされ、異動を命じられてしまう。
こうしてネッロがやってきたのは「元精神病患者」たちが集う協同組合。実はイタリアは、「自由こそ治療だ」という考えに基づき78年に制定されたパザリア法により、精神病院が閉鎖され患者たちは一般社会のなかで生活することになったのだが、行き場のない元患者たちがこの協同組合に集められていたのだ。
「元患者」とはいえ、今も社会生活は難しいと思える人々は多量の薬で温和しくされ、無気力な日々を送っていた。ネッロは、そんな彼らに働く喜び、そして組合で一致団結する素晴らしさを知ってもらおうと奮闘しはじめる。
周囲に反対され数々の失敗を重ねながらも、持ち前の強引さで組合員たちを引っぱるネッロ。ようやく物事が良い方向に回り出したと思った矢先、顧客の女性に恋した組合員が問題を起こしてしまい……。
お手軽映画なら、ネッロの指導の下、元患者たちはメキメキ社会性を身につけトントン拍子に物事が進むところだが、本作ではそうはいかない。みんな個性が強すぎるし、正直言ってワガママだし、仕事仲間や発注先としては難物だ。しかし、これこそが現実なのだ。
スゴいなぁと思うのは、軽くキスされたことで「その気」になってしまう青年や、セックスに興味津々の人々の姿も隠さずに描いていること。実はこれ、実話をもとにしていて、劇中に登場する欧州共同体(EC)の助成金で娼婦を買いにいくエピソードも、実際にあったことなのだという。
精神病患者たちを「病人」として隔離するのではなく社会の一員とすることで、様々な問題をオープンにしたイタリア。日本とは大きく違う取り組み方に、考えさせられる部分も多い。(文:ムビコレ編集部)
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