撮影の銃に使われていたのは実弾だった
アレック・ボールドウィンが21日(現地時間)、ニューメキシコ州で映画撮影中に撃った銃によって2名の死傷者が出た事故の詳細が明らかになってきた。
・アレック・ボールドウィン、映画撮影中の銃誤射で女性スタッフ死亡
当初は銃に装填されたのは空砲と伝えられたが、銃から放たれたのは実弾だったことが判明した。撮影で実弾を使用するのは禁じられており、なぜこのような事態が起きたのかは調査中だという。
ロサンゼルス・タイムズ紙によると、ボールドウィンが主演を務める『Rust(原題)』の撮影現場では、数日前から安全管理についての不満の声が上がっていた。
ニュー・メキシコ州サンタフェの現場では、今回の事故以前にプロップガンによる誤射が3回も起きており、事故当日には危険な労働環境に抗議して撮影スタッフ6人が現場を離れていた。
『Rust』は撮影日数の予定が21日間という低予算映画で、事故は撮影12日目に起きた。
カメラオペレーターと助手たちは長時間労働、撮影現場までの長距離移動、賃金の遅配といった悪条件に不満を抱いていたが、さらには安全管理の問題もあったという。
少なくとも1人のカメラオペレーターが先週、現場を管理するプロダクションマネージャーたちに撮影現場での銃の扱いの安全性について苦情を言い、3人のスタッフは16日(現地時間)に2回起きたプロップガンの偶発的な発射について気にしていた。
ボールドウィンのスタントダブルが銃を2発撃ったところ、事前に「コールド(撮影用語で、空砲を含む弾薬の入っていない状態のこと)」と言われて手渡されたものから2発が発射されたのだ。
スタッフの1人はユニットプロダクションマネージャーに「これまでに3回誤射がありました。これは非常に危険です」とメールを送ったという。だが、一連の事故について調査が行われることはなく、安全についてのミーティングも行われなかった。再発しない保証もないまま、現場で優先されたのは撮影を早く進行させることだった、と撮影スタッフはロサンゼルス・タイムズ紙に語った。
事故後に『Rust』を製作するラスト・ムービー・プロダクションは「キャストとスタッフの安全がラスト・プロダクションと同社関係者にとっても最優先事項です。撮影現場における武器や小道具の安全について、公式の苦情はありませんでした」と声明を出したが、かけ離れた杜撰な実態が浮き彫りになってきている。
21日、ボールドウィンがホルスターから銃を抜くシーンの準備中に事故は起きた。事前にスタッフが「コールド・ガン(弾薬なしの銃)」と叫んだという。
撮影監督のハリナ・ハッチンスさんとジョエル・ソウザ監督は、オペレーターと共にモニター越しにカメラアングルをチェックしていた。ボールドウィンがホルスターから銃を取り出す動作をしたところ、3人に向かって弾が飛び、オペレーターの脇をかすめて、ハッチンスさんとソウザ監督に当たった。ハッチンスさんは搬送先の病院で死亡が確認され、監督は負傷し、病院に搬送された。
事故後、警察の捜査に協力し、逮捕、起訴されなかったボールドウィンは、事故翌日にツイッターを更新、以下のように綴った。
「ハリナ・ハッチンスさんの命を奪った悲劇的な事故について、私のショックと悲しみを伝える言葉がありません。妻であり、母であり、尊敬される同僚です。
私は、この悲劇がどのようにして起こったかについて、警察の捜査に全面的に協力しています。彼女の夫と連絡を取り、彼とその家族への支援を申し出ています。彼女の夫とその息子、そしてハリナを知っていて愛していたすべての人のために、私は胸が張り裂ける思いです」
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