8月18日〜28日まで開催されていた第35回モントリオール世界映画祭が終了。グランプリをベルギー映画『Hasta La Vista』(英題『Come As You Are』)が、日本映画『わが母の記』が審査員特別グランプリを受賞した。
『わが母の記』は、故・井上靖の自伝的小説を映画化した作品で、『クライマーズ・ハイ』の原田眞人が監督。年老いて記憶が薄れゆく母と家族との交流が描かれ、主人公を役所広司、老母を樹木希林が演じ、その孫を宮崎あおいが演じている。
・モントリオール映画祭に出席の樹木希林、孫で13歳の内田雅楽が通訳を担当!
同賞は、最高賞のグランプリに次ぐ栄誉ある賞。オスカー受賞作となった『おくりびと』が同映画祭グランプリを受賞していることもあり、『わが母の記』の今後の展開にも注目したい。
現地時間8月28日に行われた授賞式には、樹木と、原田監督の息子で同作の編集を担当した原田遊人が出席。原田は「監督である父は、現在(京都で新作を)撮影中のため、代わりに受け取ります」と説明してから、「このような素晴らしい賞をいただき、とても光栄に思っています」と感謝の意を示した。
また樹木は「日本は今、原発という人災により、空気も壊れ、水も壊れかけています。私はこのような賞をいただいても、嬉しいような情けないような気持ちですが、心していただきます」と挨拶。さらに「『美しい映画』と審査員に言われました。そういう日本でありたいと思いました」と、かみしめるようなコメントを寄せた。
一方、役所広司と京都で新作の撮影中の原田監督からは「すべての観客とその母親たちに捧げるつもりで撮りました。この物語がモントリオールの皆様にも共感していただけたことが光栄です。深い感謝をお伝えしたいと思います」というコメントが届いた。さらに役所からも「日本の家族の姿を世界の人々に見ていただけて、そして受け入れてもらえたことがとても嬉しい」という歓びのメッセージが寄せられた。
『わが母の記』は2012年に全国公開される。
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