“巣ごもり”時代の豊かな暮らし。創業60年、家具メーカーの「住まい作り」に込めた思い
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家具メーカーが作る家って?
コロナ禍を経てライフスタイルが変化し、住み替えやセカンドハウス需要が高まっている。新居はシンプルに、でも心豊かに暮らしたいというニーズは、立派な庭や家構えというよりも、日頃から手に触れ、かつホームエンタテインメントを心地よくしてくれる「インテリアからの住まい作り」へのトレンド移行を予感させる。
そんな流れに応えるように、「家具メーカーが作る家」の最新モデルハウス「Solden(ソルデン)」が横浜にオープンした。AKASE株式会社代表・藤井幸治社長の肝いりで、住宅ブランドのVILLAX(ヴィラックス)とのコラボレーションによる規格住宅として2年ほど前から取り組んでいる「JUGU(ジューグ)」シリーズの一環だ。
「ウチの家には入らないから…」をなくしたい
AKASE株式会社は、60年以上にわたり家具を作り続けてきた老舗メーカーだ。そんな彼らだからこそ、家づくりに駆り立てられる動機があった。
その第一は、「家を建ててから家具を選んでいる人が多い」ということ。家づくりで予算が尽きてしまうというのもあるが、それ以上に、気に入った家具があっても「間取りに入らないから候補から外す」という場面に幾度となく直面した苦い経験があったのだ。
そして第2に、家具は体で直に触れ、かつ日常的に使う最も身近な道具であり、自分たちが作った上質の家具でユーザーに心地いい豊かな暮らしを送って欲しいという願いがある。
「家具のある空間から家を作っていく」という発想は、「JUGU」の家づくりが家具作りと同様のアプローチを取っていることにも反映している。AKASE株式会社の自社ブランド「マスターウォール」の家具がそうであるように、素材の良さを取り入れる趣旨で「JUGU」にはウッドタイルを取り入れられているほか、フローリングにも4種類の無垢材が用意されている。
カリフォルニアのコテージのように燦々と陽が降り注ぐ家
このたびの新しいモデルハウス「Solden」の名は、太陽を表すSolと小動物の巣穴を表すdenから成る造語で、”太陽の光が集う家”といった意味が込められているという。
日が燦々と輝くカリフォルニアの家を思い起こさせるこの家は、白と黒の直線基調のミニマルな印象の外観。それがまさに、理想的な家具の配置から生まれた理想の間取りを実現していることの証しでもある。
企画は、まさにコロナ禍の1年ほど前に始まった。43歳のアウトドアも好きな趣味人がオーナーで、妻と小学生の子どもが暮らすファミリー世帯を想定。家時間が増え旅行にも自由に行けない中、コテージハウスのような開放感で真にリラックスできる空間をと設計が進められた。ちなみに、コラボレーション相手のVILLAX社の社名の由来もVILLAとRELAXを造語にしており、こうした趣旨にぴったりである。
「Solden」は構造用合板を使った木造建築で、熊本地震にも耐えられる耐震シミュレーションをクリアー。40坪の敷地のうち建坪は30、延べ床面積は100㎡である。
室内に足を踏み入れると、マスターウォールのオススメ家具がふんだんに使われているほか、玄関の下駄箱や手洗いを含め作り付けの建具にもマスターウォールのデザインチームが企画したものを誂え、住宅への施工もマスターウォール自身で行っている。こういった作り付け家具には、すでにリフォーム案件などで実績を積んできたことが活かされた。
エンタテインメント空間=リビングシアター THE MASTARWAL
エントランスからの扉を開けると、アイアン階段を伴う吹き抜けと大きな開口部から日が燦々と差し込むリビングが現れる。
そこには、マスターウォールの人気No1「DANISH SOFA(デニッシュ ソファ)」と「BASS(バス) AV BOAD」が据えられ、映画や音楽を思う存分楽しめる快適なリビングシアターを演出している。
あえてテーブルは置いていないところもミソ。ヘッドレストで首を支えられながら映画に集中するも良し、ソファの広い座の部分に寝転んだり、ソファの座の部分を背にラグに足を伸ばして寛ぐ”ごろ寝スタイル”もオススメだ。
まさに“コンドミニアム”なダイニングキッチン
ウッド壁を隔てた向こう側には、ダイニングキッチンがある。
この立ち壁は、家具を製造する過程でどうしても生じてしまう端材を活用したもので、これまでも要望が多かった。床も同じウォールナットだが、壁はあえてオイル仕上げはせず違いを知ってもらえるようにしている。
こちらもコンセプトは、”コンドミニアム”スタイル。家に居ながらにして、まるで旅先のコテージで好きな料理を自分たちで作り、味わう“ワイワイライフ”を妄想させる。
また、ベランダへの掃き出しは、床から天井まで貫く大きなガラスを使った大開口に。横浜という「Solden」の立地ならではの”HARBOR”をコンセプトに、浜辺で仕入れた食材を肴にしたアウトドアキッチンのような楽しさに満ちている。
キッチンは、この「Solden」のために新たにデザイン。ブラックとステンレス天板のコントラストが、「Land of Masterwal横浜」に展示されているクォーツ天板の「Bare キッチン」とはひと味違うシックな印象を与える。
若い人に人気のデザインかと思いきやシニア層にも好評で、「自分たちが若かりし頃にはなかったが、当時あれば選びたかった」という感想も多いという。
アイランド型ではなくL型としたのは、ダイニングエリアを広く取ることで、好きなダイニングテーブルや椅子を選びやすくするため。ダイニングテーブルには、あえて定番のワイルドウッドではなく、薄くシャープな天板の小林幹也デザイン「UT2ダイニングテーブル」をチョイス。キッチンのステンレス天板の水平線ともピタリ調和する。
床材も無垢のウォールナットを敷き詰めている。Cグレードではあるが、木目の色目がランダムなところ以外はAグレードと遜色ない。これも「Land of Masterwal横浜」に敷かれたレッドオークと比較してみて欲しい。
いちばん贅沢なのは子ども部屋=SOLDEN
もしかすると、この部屋がもっとも贅沢な空間かもしれない。アイアンの階段を上がり2階へ上がると、子ども部屋でありながらがもっとも太陽の光を取り込める空間がある。そのコンセプトも「SOLDEN」だ。
12畳あり、将来子どもが増えた場合に6畳+6畳の2部屋に分けて使えるようにドアも2枚備える。
余裕があるスペースには、人気ソファの「COMPOSIT SYSTEM SOFA(コンポジット システムソファ)」を配置し、親が子ども部屋に遊びに来て一緒に過ごせるほか、ゲストルームとしても使える贅沢な仕様だ。
家でいちばん寛げる場所=THE FIRST PLACE
階段を挟んで反対側の空間。それが、「THE FIRST PLACE」だ。
自宅、仕事場に次ぐ第3プレイス=”カフェみたいな空間”に憧れる人が多い中、むしろ家の中にこそ1stプレイス=”私のいちばんの場所”を作ろうというのがこの部屋のコンセプト。帰宅したお父さんが疲れを癒やし心落ち着けるブルーの絨毯に、マスターウォールがマットレスも含めて自社生産するベッドが置かれている。
実はマスターウォールは、ベッドフレームだけでなく、マットレスも自社生産によるオリジナルを手掛けている。フレームには元々人気モデルの「モアレス」(01年)やSoldenにも採用している「ユニゾン」(03年)などが存在していた。しかし、マットレスだけ別でお求めくださいというのは、メーカーとして忸怩たるものがあったのだろう。マスターウォールは、20年にマットレス製造のための設備を導入し、自社生産のマットレスとフレームをセットで提案できるように「縫製部」が存在。内製できる土壌があったこともあり、今では当然のように自社生産している。
そのほかこの「THE FIRST PLACE」には、L字型のワークスペース、大容量のウォーキングクローゼット、さらに窓際にはパーソナルチェアが2脚備えられ、旅館の窓際のように音楽でも聞きながらiPadや読書を楽しみながらリラックスできる。
家という安全な場所が、家族共々映画や音楽を楽しみ、時にゲストを招くエンタテインメント空間に。趣味とライフスタイルから逆算して家を作る時代の到来を予感させるモデルハウスの誕生だ。(取材・文:fy7d)
[JUGUモデルハウス SOLDEN](予約制)
住所:神奈川県横浜市緑区三保町2450−4
アクセス:JR横浜線「中山」駅より徒歩約15分、車で約5分
施工可能地区:神奈川県横浜市都筑区、緑区、青葉区、港北区、旭区
[Land of masterwal (ランド オブ マスターウォール)横浜]
住所:神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央6-1サウスウッド 2F
E-MAIL: yokohama@masterwal.jp
営業時間:11:30〜19:00 (時短営業)
定休日:不定休 (年末年始・臨時休業あり)
アクセス:横浜市営地下鉄「センター南駅」より徒歩1分 商業施設「サウスウッド」2階
[マスターウォール]https://www.masterwal.jp/
婚礼箪笥作りをルーツに半世紀以上家具を作り続けてきたAKASE株式会社が、2006年に立ち上げたメーカーブランド「MASTERWAL(マスターウォール)」。
ウォールナット無垢材をはじめとする最高品質の素材を使い、機械によるオートメーションと熟練した職人たちによる丹精込めた手作業が生み出す家具は、“100年後のアンティーク”を目指している。
近年は住宅事業にも本格参入するなど、暮らしのすべてを自社でトータル提案できるラインナップと、活きのいい人材を揃えることで今後益々注目されること間違いなしのブランドだ。
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*AKASE株式会社 https://www.akase.co.jp
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