韓英恵、賛否両論の問題作舞台挨拶で「反日映画ではなく、青春映画」

2011.10.16

双子の姉を殺された在日朝鮮人の女子高生と、その殺害現場を見ていながら、見て見ぬふりをしてしまった気弱な日本人の男子高校生。ひょんなことからこの2人が、旧日本軍の毒ガスを入手し、テロ活動を始めるという問題作『アジアの純真』。この映画が10月15日に公開初日を迎え、新宿K’s Cinemaで行われた舞台挨拶に主演の韓英恵、笠井しげ、脚本の井上淳一、片嶋一貴監督が登壇した。

・［動画］『アジアの純真』予告編

日本人と韓国人のハーフである韓は「22歳で国籍を決めなくちゃいけない。昔から人間関係とかで上手くいかないことがあって逃げてきたが、この作品を通して自分自身と真っ直ぐ向き合うことができた。この映画は反日映画ではなく、私は青春映画やロードムービーとして見ている。2年前の大人じゃない自分の思い出の映画として『アジアの純真』に出演できてよかったと思う」とコメント。

気弱な高校生を演じた笠井は「当時は高校2年生。公開を待ちに待っていた作品なので、やっと来たかという心境です。見直してみると顔とかお芝居も違っていて別人のようなので、そこを楽しんでいただければ」と語った。

脚本の井上は「多くの国内映画祭や映画館に（上映を）断られてきた」と問題作ゆえに難産だったことを明かすと、「国際映画祭ではどう評価されるかと思ったが、ティーチインまで残ってくれたお客さんの意見は好意的だった。ロッテルダム映画祭で上映後に女性が寄ってきて『ビューティフルフィルム』と言ってくれたことが非常に印象に残っている」と振り返った。

また、片嶋監督は「あまりにも同じような作品ばかりができると面白くないので、（自身が代表をつとめる）ドッグシュガーという会社内にレーベルを作って、製作から配給まで全てやってしまおうという考えの元にできたプロジェクト。その第1弾がこの『アジアの純真』で、師匠筋に当たる若松さん（若松孝二監督）がやってきたことが非常に参考になった。映画に必要なのは多様性だと思うので、いろいろな映画を作れる環境、見られる環境を作れれば」と本作に込めた思いを口にしていた。