キャリア2年でレイ役に大抜擢されて苦労も味わう
【この俳優に注目】2015年、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でレイ役に大抜擢されて一躍スターとなったデイジー・リドリー。プロの俳優になって2年足らずで、それまで小さな役しか演じたことがなかったにもかかわらず、超大作の中心で戦うヒロインとして存在感を示した。
・トムホとデイジー・リドリーが恋の逃避行!? 気概を感じる愛すべきSF映画
イギリスのロンドン出身で、9歳から演技を学び、レイ役にキャスティングされたのは22歳のとき。3本の大作でヒロインを演じる過程では、私生活について興味本位に扱われることで心労を募らせ、SNSで銃暴力の撲滅を求めた投稿に中傷が殺到してアカウントを閉鎖したこともあったが、『スター・ウォーズ』シリーズと並行して、ケネス・ブラナー監督・主演の『オリエント急行殺人事件』に出演したり、シェイクスピアの名作「ハムレット」をヒロインの視点で描く『オフィーリア』に主演。ドキュメンタリー『イーグルハンター 1000年の歴史を変えた「鷹匠」少女』では製作総指揮とナレーターを務めるなど、積極的にキャリアの幅を広げていった。声優の仕事も得意で、スタジオジブリの『おもひでぽろぽろ』の英語版や『ピーターラビット』にも出演している。
『カオス・ウォーキング』では身体能力の高さを再び発揮!
2019年に『スター・ウォーズ』続編三部作の終了後、次の出演作となったのが『カオス・ウォーキング』だ。近未来、汚染された地球から移住した人々が暮らす星に不時着した女性ヴァイオラを演じている。女性が死に絶えた世界で、トム・ホランドが演じる青年トッドと出会い、2人で悪意ある追手からの逃亡を試みる新感覚のSFだ。
そこでは男たちは頭の中で考えていることがむき出しになり、「ノイズ」として外に聞こえてしまうが、女性の「ノイズ」は発生しない。自ら望んだわけでもないのに謎をまとっている設定、同世代の男性とバディとして共に行動するのも、どこかレイと重なる部分だ。「ノイズ」が介在するトッドとのやりとりは時にユーモラスで、微笑ましく、2人のアクション演技ではレイ役で証明済みの身体能力の高さを発揮する。
「クリエイティブな自営業者」を自認
本作ではダグ・リーマン監督と話し合い、彼女の意見でヴァイオラのセリフを減らしたこともあった。「トッドとの本当のコントラストを見せたかった」のだという。これは作品に関わるときは、ただ言われた通りに演じるだけではなく、アイディアを出していきたいタイプだと自認するリドリーは、自身について「クリエイティブな自営業者」と語る。
先日、主演を務めることが発表になった『Mind Fall(原題)』も近未来が舞台のSFスリラーだ。役を豊かに育てて演じる彼女は、今度はどんなヒロイン像を見せてくれるだろうか。さらに活躍の場を広げてもらいたい。(文:冨永由紀/映画ライター)
『カオス・ウォーキング』は2021年11月12日より公開。
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