【週末シネマ】正統派B級映画が登場、負け犬顔の主演俳優とお下劣ネタに注目!
タイトルからしてコメディだとすぐに分かる『ピザボーイ 史上最凶のご注文』。見たいと興味をそそられた理由は2点。個人的に大好きな作品『ゾンビランド』のルーベン・フライシャー監督作であること、そしてそこで主演をつとめたジェシー・アイゼンバーグとの再タッグであること。
本作はいわゆる正統な(?)B級ムービーだ。B級モノだと思っていたら、思いがけず傑作だった『キック・アス』や、ゾンビもので挙げるなら『ショーン・オブ・ザ・デッド』といった作品レベルを期待してはいけない。
映画ネタや映画音楽がやたらと登場し、絶体絶命のピンチの場でくだらない会話が展開。つまりはお約束尽くし。「わはは、くだらねぇ」と全身の力を抜き、『ソーシャル・ネットワーク』で一躍有名になったとはいえ、相変わらず負け犬顔で奮闘するアイゼンバーグ君のパニクり様を楽しむのが正しい鑑賞法。アンド、意外と大規模で行われたこだわりのシーンもある。
30分でお届けがウリの宅配ピザで働くニック(アイゼンバーグ)は、いつも遅刻ばかりのうだつの上がらない若者。代理教師をしている親友のチェット(アジズ・アンサリ)とダラダラつるむ日々。だがある日のこと、ふとした言い争いが次第に激化! 2人は絶交してしまう。
最悪な状況のなか、ニックにさらなる災難が降りかかろうとしていた。ちんけな2人組ドウェインとトラヴィスが犯罪を画策。大金を得るためにある殺人を思い立ち、殺し屋を雇うことにする。しかし殺し屋を雇うためには、当座の金がいる。自分の手を汚したくない彼らは殺し屋への報酬のために他人に銀行強盗をさせることに。そして呼べばすぐに飛んでくる他人=宅配ピザに電話を入れるのだった。
猿とゴリラの覆面2人組に捕まり、時限爆弾を着けられ、銀行強盗を強要されるニック。絶交中とはいえ友だちはチェットだけ。とりあえずケンカは脇に置き、銀行強盗のためにスーパーでモデルガンと覆面を購入した2人は、いざ、銀行へ。チェットを演じるアンサリは人気コメディアン。アイゼンバーグとの掛け合いに笑えるシーンもあるにはあるが、バディとしては小者のクセにリーダーぶるドウェインと、子分役のトラヴィスのほうが、バランスがいい。
とはいえ、アイゼンバーグ君は本作でも負け犬オーラを存分に放って魅力的だ。『ソーシャル・ネットワーク』で共演したアンドリュー・ガーフィールドが新スパイダーマンを勝ち取る一方で、インディーズの香りを失わないアイゼンバーグ君には、このまま負け犬顔で進んでいってもらいたい。
ところで、先に述べた大規模でに行われたシーンというのは、カーチェイスの場面。銀行強盗モノに相応しい激しいカーアクションが展開する。小さな町で15ブロックを閉鎖、20人ものスタントドライバーが周囲を走るなか、実際にアイゼンバーグ君がスポーツカー(Datsun 280Z)のハンドルを握り、迫力のシークエンスを作り上げた。
男子はお下劣ネタとカーチェイス、女子は母性本能くすぐるアイゼンバーグ君の慌てぶりをチェックしたい、ホップコーンムービーの王道作である。
『ピザボーイ 史上最凶のご注文』は12月3日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次公開 される。(文:望月ふみ/ライター)
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