『クリスマスのその夜に』『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』『宇宙人ポール』に続く、“クリスマスに見たいオススメ映画”6本をご紹介!
●『幕末太陽傳 デジタル修復版』
日本映画史に燦然と輝く名作『幕末太陽傳』がデジタル修復版で復活するのも見逃せない。45歳の若さで世を去った川島雄三監督が、落語の「居残り佐平次」「芝浜」「品川心中」を元ネタに、江戸の粋を描く。
明治維新を5年後に控えた文久2年、品川の遊廓で金もないのに仲間と派手に遊んだ挙げ句、居残りになった佐平次は廓の仕事を手伝い始める。廓の居残り組に勤皇の志士・高杉晋作がいたり、製作当時の1957年の品川の風景が登場したり、自由でモダンなスタイルは製作から半世紀以上の時を経ても色褪せない。
フランキー堺が軽妙洒脱にして反骨の男、佐平次を絶妙なセンスで表現。新しい時代の夜明け前を駆け抜けるスピード感が小気味良い。
・[動画]『幕末太陽傳 デジタル修復版』予告編
●『ブリューゲルの動く絵』
絵画を映像化する。そんなユニークな試みに挑戦したのが『ブリューゲルの動く絵』。
16世紀フランドル絵画の巨匠ブリューゲルの傑作「十字架を担うキリスト」をCGと実写映像を融合させて再現。キリストや聖母マリアのみならず、背景に描かれた人々の生活を追いながら、巨匠が名画に秘めた真意も解き明かしていく。
作者であるブリューゲル、のどかな農村で慎ましく生きる人々、ゴルゴダの丘へと向かうキリストや聖母マリア。別々の次元に生きていたはずの彼らが「十字架を担うキリスト」という絵画上で渾然一体と化していく構成が興味深い。実写による光と影を得て、深みを増して再現されるフランドルの風景は荘厳な美しさに満ちている。
・[動画]『ブリューゲルの動く絵』予告編
●『サラの鍵』
第二次世界大戦下、あるユダヤ人少女の体験した悲劇を描いた『サラの鍵』も、ヘヴィな物語だが、一見の価値ある傑作だ。
パリ在住のアメリカ人女性ジャーナリスト・ジュリアは、夫と娘と暮らす自宅アパートのかつての住人が1942年のユダヤ人一斉検挙で連れ去られた一家だったと知る。アウシュビッツに送られた一家の10歳の長女サラは収容所から逃亡した。サラは収容される前、「すぐに帰るから」と納戸に弟を隠して鍵をかけていたのだ。姉弟のその後の消息を追うジュリアは次々と思いがけない事実に直面し、それによって彼女の人生も大きく変化していく。
映画は現代と42年を往き来し、ジュリアとサラをつなぐ接点が、やがて浮かび上がる。大きな悲しみから逃げず、真実をしっかりと受けとめる。それが、傷ついた者が立ち直るために必要なことなのだと教えてくれる作品だ。
・[動画]『サラの鍵』予告編
●『永遠の僕たち』
両親を亡くして以来、死を強く意識して生きる少年と、不治の病に冒された少女の恋を描く『永遠の僕たち』は、『ミルク』のガス・ヴァン・サント監督が、孤独な2人の魂の触れ合いを静かに見守るようなタッチで繊細に表現する。
昨年亡くなった名優デニス・ホッパーの息子ヘンリー・ホッパーが、両親の死後、死に取り憑かれた少年イーノックをみずみずしく演じ、ガンで闘病中のアナベルに扮するミア・ワシコウスカ(『アリス・イン・ワンダーランド』)のボーイッシュで透明感あふれる魅力がまぶしい。イーノックがアナベル以外に唯一心を開く、彼の目にしか映らない“友人”ヒロシを加瀬亮が演じる。
全編を通して常に死を感じさせる物語なのに、不思議な温かさと希望も同様に存在する。親しい人を送り、それでも生きていく。愛すること、生きる喜びが静かに伝わってくる。
・[動画]『永遠の僕たち』予告編
●『風にそよぐ草』
いくつになっても、恋のときめきは人を若者にさせる。いい大人の紳士が突然の恋に我を忘れる『風にそよぐ草』は、『去年マリエンバードで』『二十四時間の情事』で知られるフランスの巨匠アラン・レネ監督が89歳で撮った最新作。
ショッピングセンターで財布を拾った老紳士が、財布のなかにあった持ち主の女性の写真を見て一目惚れする。警察経由で手元に財布が戻った女性が彼にお礼の電話をかけたのをきっかけに、彼の気持ちは暴走、電話や手紙の攻勢をかける。飛行機を操縦する女性について妄想をふくらませ、ストーカーのようになってしまう男と、一旦は拒絶しながらも、なぜか相手のことが気になる女。ゆらゆら揺れる彼らの行き着く先は?
もう若くはない2人のラブストーリーは、途方もなく自由でクレイジーだ。
・[動画]『風にそよぐ草』予告編
●『ニューイヤーズ・イブ』
少し気は早いが、クリスマスの後、1年を締めくくる大晦日も様々なドラマが生まれる一夜だ。『プリティ・ウーマン』のゲイリー・マーシャル監督がニューヨークに暮らす男女8組を描く群像劇『ニューイヤーズ・イブ』は、ロバート・デ・ニーロやハル・ベリー、サラ・ジェシカ・パーカーにザック・エフロン、ジョン・ボン・ジョヴィといった豪華キャストを見るだけでも楽しい一作。
去年の大晦日に出会った女性との約束を忘れられないリア充のビジネスマン、死期の迫った孤独な老人と看護婦、偶然再会したかつての恋人同士、出産予定日を迎えた妊婦。様々な境遇の人々が、日々の暮らしのなかで失われた絆を取り戻そうとする。
昨年の大晦日にタイムズスクエアでロケしたカウントダウンの様子も織り込まれている。
・[動画]『ニューイヤーズ・イブ』予告編
(文:冨永由紀/映画ライター)
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・【週末シネマ番外編】クリスマスに見たい、ムビコレ編集部オススメの10本(前編)
・『幕末太陽傳 デジタル修復版』作品紹介
・『ブリューゲルの動く絵』作品紹介
・『サラの鍵』作品紹介
・『永遠の僕たち』作品紹介
・『風にそよぐ草』作品紹介
・『ニューイヤーズ・イブ』作品紹介
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