2011年も様々なことがあった映画界。そのなかから、ムビコレ編集部が独自に重大ニュースをセレクション。2011年を代表する10本を選んでみました。【後編】となる今回は、第5位〜第1位を発表します(前編はこちら)。
【第5位】……昨年に引き続き、ミニシアターが相次ぎ閉館!
昨年、渋谷シアターTSUTAYA、ヒューマントラストシネマ文化村通り(旧シネ・アミューズ)、シネマ・アンジェリカなどのミニシアターが相次いで閉館し話題となったが、今年も1月に恵比寿ガーデンシネマ、2月にシネセゾン渋谷、5月に池袋テアトルダイヤと、ミニシアターの閉館が続いた。
ミニシアターは1980年代に登場。全国公開作とは異なるタイプの映画を上映し、90年代にかけて人気を博していく。ゆったりとした座席やデザインされた内装などもブームを後押しし、女性客の取り込みにも成功した。だが、90年代後半になってシネコンが数を増やし始め、21世紀に入って単館拡大と呼ばれる公開スタイルが普及したり、全国公開の日本映画が盛り返すにつれ、次第に勢いを失っていった。
この流れが進んでいくと、今後、ハリウッド以外の多くの国と地域の映画が日本で上映されなくなってしまう恐れがある。日本のインディペンデント系映画も例外ではない。映画を愛する1人として、ミニシアターにはまだまだ頑張ってもらいたいと思っている。
・池袋の映画館「テアトルダイヤ」と博多の「シネ・リーブル博多駅」が閉館
【第4位】……原田芳雄、森田芳光、エリザベス・テイラーらが逝去
年末になって映画監督の森田芳光の訃報も報じられた映画界では、今年も数々の名優・名監督がこの世を去った。世界ではエリザベス・テイラー、ピーター・フォーク、『十二人の怒れる男』などで知られるシドニー・ルメット監督など。日本でも田中好子、長門裕之、細川俊之をはじめ多くの名優の訃報が伝えられた。
なかでも衝撃的だったのが原田芳雄。7月11日に行われた主演作『大鹿村騒動記』の舞台挨拶には車椅子姿で登場したが、それから1週間ちょっとを経た7月19日に肺炎のため71歳で逝去した。また、映画での活躍はほとんどないが、タレント・上原美優の自殺にも衝撃を受けた。
・原田芳雄が71歳で逝去。7月11日には主演作舞台挨拶に車椅子で登壇も
・上原美優の突然の訃報に、中川翔子、里田まいらがブログで哀しみのコメント
【第3位】……ブラピ、トム・クルーズらが、震災後半年以上を経て来日!
3月11日の東日本大震災により、今年前半はハリウッドスターの来日が軒並みなくなった。影響を与えたのが福島の原発事故だ。その危険度が、チェルノブイリと並ぶレベル7に引き上げられたこともあって、海外からは日本は放射能に汚染された危険な地域と見られていた。
そうしたなか、7月には『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』の監督・キャストが来日をはたすものの、訪れたのは東京ではなく福島から遠く離れた大阪。東京へのハリウッドスターの“来日”となると、10月に開幕した東京国際映画祭でグリーンカーペットを歩いたミラ・ジョヴォヴィッチら『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』一行まで待たなくてはならない。
その後は、『マネーボール』でブラッド・ピット夫妻、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』でトム・クルーズが来日した。ようやく平常を取り戻した映画界、2012年は大勢のスターが来日してくれるに違いない。
・ブラピとアンジーが野球チームを作るなら?/『マネーボール』ジャパンプレミア
・トム・クルーズが来日、ファン・ミーティング・セレモニーに登場!
【第2位】……『100,000年後の安全』をはじめ、原発映画が続々公開!
福島の原発事故が収束しないことや、チェルノブイリ原発事故から25年目という節目の年であることもあり、今年は『チェルノブイリ・ハート』『カウントダウンZERO』『カリーナの林檎〜チェルノブイリの森〜』『第4の革命』『子どもたちの夏 チェルノブイリと福島』など、原発をモチーフにした映画が次々と公開となった。
なかでも4月2日という事故後間もない時期に公開されたこともあって関心を集めたのが『100,000年後の安全』だ。これは、原発から放出される高レベルの放射性廃棄物が、生物にとって無害なレベルになるには10万年かかることをベースにしたドキュメンタリー映画。当初、渋谷にある映画館「アップリンク」で1日1回のみの上映だったものが、瞬く間に話題を集め、6月14日時点で70館以上に拡大公開されることとなった。
原発問題は今なお収束していない。こうした映画が関心を持たれないくらい平和な日々が再び訪れることに期待したい。
・高レベル放射性廃棄物の処分をテーマにしたドキュメンタリー映画が緊急公開!
【第1位】……東日本大震災
今年3月11日に起こった東日本大震災は多くの人の命や生活を奪い、環境も変えてしまった。映画界も例外ではなく、さまざまなことが起こった。
震災直後に予定されていた舞台挨拶はすべてキャンセル。その時点で決まっていた来日などのイベントもキャンセルとなった。地震や津波が登場したり、震災による被害を彷彿とさせる映画は公開中止や延期となった。
道路の寸断などにより流通経路を確保できず、DVDの発売時期が延期になった作品も多数。そして、計画停電の実施や節電などの影響で、営業時間を短くする映画館も多かった。ある興行関係者は「この先、映画界は復活できるのだろうか?」と哀しい表情を浮かべていた。
それから8ヵ月半。ようやく平常に戻った映画界。2012年が映画界のみならず、すべての人にとって、より良い1年となることに期待したい。
・震災と計画停電で映画界にも大きな影響
・地震の影響で映画の公開延期と来日中止が相次ぐ
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