コロナで急死から1年…キム・ギドクとは何者だったのか
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韓国の鬼才の功績を改めて振り返る「キム・ギドク 特別上映」12月開催
世界三大映画祭を制覇した鬼才キム・ギドク。
昨年12月、滞在先のラトビアで新型コロナに感染、60歳の誕生日を目前に帰らぬ人となった。
奇抜な発想と大胆な構成力の脚本、過激な描写に静謐な余韻、キム・ギドクの映画には彼にしか生み出せない魅力があった。
突然の死は彼自身の映画のような想像を絶するエンディングだった。
あっけない別れに言葉を失ったまま、もうすぐ1年が経とうとしている。
そして今年12月、一周忌を迎えるにあたり、彼が残した映画を再びスクリーンで上映することが決定した。
失神者が続出するほどの衝撃で一気に彼の名前を世界に知らしめた『魚と寝る女』、世界の頂点を極めた『嘆きのピエタ』、そして遺作となった『人間の時間』ほか、いずれにもキム・ギドク自身が投影されている7作品だ。
「キム・ギドク特別上映」は12月18日~31日に新宿のK‘s cinemaとヒューマントラストシネマ有楽町で開催される。
■上映作品 全7作品
『魚と寝る女』(00年/90分)
第57回ヴェネチア国際映画祭出品
第19回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭金の大鴉賞(グランプリ)
出演:ソ・ジョン、キム・ユソク
湖上に点在する釣り小屋を管理し、客の世話をする女。ある事件を起こし死ぬつもりで湖にやってきた男。外界から隔絶された2人はいつしか奇妙な関係となっていく。幻想的な湖で繰り広げられるあまりにシュールな物語。激しく、悲しく、痛く、キム・ギドクの才気を鮮烈に印象付けた作品。
『悪い男』(01年/102分)
第52回ベルリン国際映画祭出品/第16回福岡アジア映画祭グランプリ
第35回シッチェス・カタロニア国際映画祭オリエント急行賞
出演:チョ・ジェヒョン、ソ・ウォン
孤独な男が一目惚れしたのは汚れを知らぬ女。男は女をさらい、飾り窓で客を取らせるが、自分は一切手を触れることがない。男の屈折した愛と孤独はやがて女の身と心にしみこんでいく。地獄に堕ちた2人が最後に到達する純度100%の愛に驚愕する。既成概念を打ち破るキム・ギドク面目躍如の一作。
『受取人不明』(01年/119分)
第58回ヴェネチア国際映画祭出品
出演:ヤン・ドングン、パン・ミンジョン、キム・ヨンミン
帰国した米兵の夫からの手紙を待ち続けている母。息子はろくな仕事にも就くこともできず鬱憤がたまり、同じ年ごろの友人たちにも朝鮮戦争が暗い影を落としている。韓国の暗部に切り込み、社会の底辺にうごめく人々を残酷に描きながらも、そのまなざしはやさしさに満ちている。
『うつせみ』(04年/89分)
第61回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)・FIPRESCI賞
第9回釜山国際映画祭NETPAC賞
出演:イ・スンヨン、ジェヒ、チェ・ジンモ
留守宅に侵入しては暮らす男が、ある家で出会った人妻。夫に家に閉じ込められていた女は、男と一緒に家を出て、2人で留守宅を転々とする奇妙な生活を始める。かりそめの不思議な関係はいつしか本物の純愛に変化していく。セリフもほとんどなく、奇想天外な展開ながらもしっとりとした異色のラブストーリー。
『嘆きのピエタ』(12年/104分)
第69回ヴェネチア国際映画祭 金獅子賞受賞/第49回大鐘賞映画祭(韓国)審査委員特別賞
第33回青龍映画賞(韓国)最優秀作品賞/第32回韓国映画評論家協会賞、最優秀作品賞・監督賞
出演:チョ・ミンス、イ・ジョンジン、ウ・ギホン
天涯孤独で冷酷無比な借金取りの男の前に、突然母親だと名乗る女が現れる。謎だらけの女を疑いながらも無償に注がれる愛に凍てついた男の心も溶け出していくのだが……。常識を覆す二転三転のドンデン返し。そして魂が揺さぶられるあまりに美しいラストシーン。鬼才キム・ギドクが世界の頂点に立った衝撃作。
『殺されたミンジュ』(14年/122分)
第71回ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門作品賞
出演:マ・ドンソク、キム・ヨンミン、イ・イギョン
1人の女子高生が何者かに殺害された事件は闇に葬られたままだった。一年後、7人の武装した男たちが次々と容疑者候補を誘拐、事件の解明に挑んでいく。証言の数々から浮かび上がる闇の真実。加害者、被害者の境界が曖昧になっていく本作は現代社会への痛烈なカウンターパンチともいえる。
『人間の時間』(18年/122分)
出演:チャン・グンソク、アン・ソンギ、藤井美菜、オダギリジョー
現代のノアの箱舟には、欲望しか存在しなかった。元軍艦がクルーズ船として出航、国も年齢も職業も様々な人々は大海原の航海を楽しんでいたが、船は異次元へと入り込んでしまう。生き残りをかけ人々はエゴをむき出しにしていくが、最後に残るものは…。強烈な設定で描き出されるディストピア。本作がキム・ギドクの遺作となる。
■キム・ギドク プロフィール
1960年12月20日、ソウル近郊の貧しい村に生まれる。10代を肉体労働者として過ごし、その生活から逃れるために軍隊に入り、さらに過酷な生活を5年続け除隊。牧師を目指し神学校にも通っていたが、画家を目指し30歳でフランスにわたり路上画家として3年間を過ごす。その間、パリで見た映画の数々に衝撃を受け、独学で映画を学ぶ。93年帰国、初めて書いた脚本の受賞をきっかけに脚本家として活動を始める。96年『鰐』で監督デビュー。以降、異端の才能を発揮し、国際映画祭で新作が待ち望まれる監督として高い評価を受けてきた。08年ある事件をきっかけに映画製作の現場から離れる。4年の隠遁生活から再起を果たした『アリラン』で2011年カンヌ国際映画祭「ある視点部門」で最優秀作品賞を受賞。その翌年12年ヴェネチア国際映画祭、『嘆きのピエタ』で金獅子を受賞、韓国人監督として初めて世界三大映画祭における最高賞に輝いている。20年12月11日、新型コロナ感染により逝去。
日本で初めて紹介された作品は『魚と寝る女』であり、チャン・グンソク、アン・ソンギが出演した『人間の時間』が日本公開最後の作品で遺作となる。
その他、主な作品に『ワイルド・アニマル』(97年)、『悪い女 青い門』(98年)、『リアル・フィクション』(00年)、『コーストガード』(02年、第38回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭FIPRESCI賞・NETPAC賞)、『春夏秋冬そして春』(03年、第51回サン・セバスティアン国際映画祭観客賞)、『サマリア』(2004年、第54回ヴェネチア国際映画祭銀熊賞[監督賞]受賞)、『弓』(2005)、『絶対の愛』(2006、第42回シカゴ国際映画祭プラーク賞)、『ブレス』(07年)、『悲夢』(08年、第27回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭オービット・コンペティション・グランプリ)、『メビウス』(13年)、『THE NET網にとらわれた男』(16年)などがある。
「キム・ギドク特別上映」は、12月18日~31日に新宿のK‘s cinemaとヒューマントラストシネマ有楽町で開催される。
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