激安13万円の“名画”が510億円に! 真偽不明の絵の価値を吊り上げたアート界の知られざる闇とは?
#アート#アントワーヌ・ヴィトキーヌ#サルバトール・ムンディ#ダ・ヴィンチは誰に微笑む#ドキュメンタリー#ミステリー
アート界に潜む闇と巨額取引の実態を生々しく暴いたミステリー・ノンフィクション『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』が公開中。ムビコレでは、アントワーヌ・ヴィトキーヌ監督のインタビューを掲載中だ。
・『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』アントワーヌ・ヴィトキーヌ監督インタビュー
富豪たちの投機対象となってしまったアート
2017年、アート界に激震が走った。1枚の絵がレオナルド・ダ・ヴィンチの最後の絵画とされる「サルバトール・ムンディ」=通称「男性版モナ・リザ」として、オークションで史上最高額となる510億円で落札されたのだ。購入者は誰か? これによって真のダ・ヴィンチ作品だと証明されたのか? 全世界の関心を集め、今なお謎が深まるばかりのこの名画に関わる秘密を鋭く紐解いていくだけでなく、知られざるアート界のからくりから、闇の金銭取引までをも生々しく暴く。
本当にダ・ヴィンチの作品なのか、真偽不明のまま価値が510億円にまで吊り上がった「サルバトール・ムンディ」。史上最高額で落札されたことで話題を呼んだ絵画だが、ヴィトキーヌ監督がドキュメンタリーを撮ろうと思ったのは、この落札がきっかけではなかったと話す。
「2018年頃、劇中にも出てくるサウジ皇太子のポートレイトとしてのドキュメンタリーをテレビ用に撮ろうとしたんですが、その時たまたま彼が大金を払って絵画を買ったということを聞いて、私の中で彼とアートのイメージがつながらなかったんですよね。皇太子のイメージというのは国政とか、イエメンでの戦争であるとか、あるいは反イランの立場であるとか、そっちしか知らなかったですから。私自身もアートには全く知識がなかったんですが、それを聞いた時に、アートと皇太子の繋がりに興味を持ったのがきっかけです」。
どうしてアートに興味のない富豪が、アートを高値で買い求めるのか。その理由は、アートに“芸術的価値”ではないものを求めるアート業界の現状と関係があるとヴィトキーヌ監督は話す。
「本当の芸術的な価値を求めてというよりも、富豪たちが、投機対象としてオークション向けに扱うようなことが起こっているのが、今のアートの世界なんです。つまり、アートの世界では芸術作品が資金を生んでいる状況があります。そして芸術作品の周囲には、必ず利益を求める人たちが群がっているわけですね。もちろん、不誠実な人ばかりではありませんが、そのように芸術作品を貶めている人がいるのも事実だと思います」。
本来であれば、真贋性について丁寧に検討する必要がある「サルバトール・ムンディ」。しかし、現在のアートをとりまく状況がそれを難しくしている。510億円まで価値が膨れ上がった理由はそれだけではなく、ほかにも複雑な「アート業界の闇」が関係していそうだ。アントワーヌ・ヴィトキーヌ監督のインタビュー全文はこちらから。
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