蓮佛美沙子、311直後に被災地で撮影した『RIVER』で「初心に帰れた」と思い語る
2008年に起こった秋葉原無差別殺傷事件をモチーフにし、恋人を事件で亡くし心を閉ざした女性が再び前を向いて歩き出すまでを描いた感動作『RIVER』。この映画が3月10日に公開となり、渋谷ユーロスペースで行われた初日舞台挨拶にキャストの蓮佛美沙子、小林ユウキチ、尾高杏奈、中村麻美、小林優斗、Quinkawith a Yawn、主題歌を担当したmeg、廣木隆一監督が登壇した。
主人公ひかり役を演じた蓮佛は「題材が題材ということもあって、ここまで戸惑いや葛藤を抱えて撮影に挑んだ作品は初めて」と明かすと、初日を迎えた感想について「ホッとしている気持ちが強いです」としみじみと語った。
撮影中で印象に残っていることについて蓮佛は「廣木監督は、私の心が動いているかどうかを常に見ている監督なので、いつ怒られるんだろうかとドキドキしながらやっていました。いつもなら私は構成を見て、計算してお芝居をしてしまうところがあるのですが、そういうのを削ぎ落として、初心に帰れた気持ちがしました」と振り返った。
本作は、準備中に東日本大震災が起こり、それを受けて脚本を変更。事件と震災の両方に向き合う作品となったが、廣木監督は「この時期にこの映画が公開され感慨深いものがあります。(当時)スタッフとはこんな時期に映画をやっていいものか、と議論もしたけれど、現実に起こったことに目を背けてはいけないという思いもあり、被災地にも(撮影に)行きました」とコメント。
続けて、「辛い記憶は僕自身も薄れていくけれど、そのときの気持ちをこの映画の中に映せたと思う。僕自身もあの場所に立っていろんなことを考えました。この映画が願わくば毎年上映され、今の状況や自分の状況を考えることになればいいなと思います」と力強く話した。
蓮佛は「ちょうど1年前、震災が起こった2週間後に撮影を始めて、当時はこの作品に携わった全ての人が、何が正解か分からないながらも、今撮らなければいけないもの、今残しておかなければいけないことがあるはずだという強い思いのもと作りました。何かを考えるきっかけになれば」と作品への思いを語っていた。
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