国民的作家、故・井上靖の自伝的小説を映画化、第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞した『わが母の記』。この映画の完成披露試写会が3月19日に丸の内ピカデリーで行われ、役所広司、樹木希林、宮崎あおい、ミムラ、菊池亜希子、原田眞人監督が舞台挨拶に登壇した。
年老いて記憶が薄れゆく母と、家族との交流が描かれる本作。主人公の作家を役所、その老母を樹木が演じ、作家の娘の3姉妹をミムラ、菊池、宮崎が演じているが、役所は「刺激的で可愛い母と、出来の良い可愛い娘たち3人に囲まれて、とても幸せな撮影でした」と挨拶。
撮影では、井上靖の自宅と別荘を実際にロケ地として使用したが、原田監督は「井上先生の世田谷にあるご自宅が2011年の5月に移築されるということになりまして、もう『この時期しかない』ということで始めました」と製作のきっかけを明かした。
本作のロケ地には川奈ホテルも出てくるが、樹木は同ホテルについて、文学座研究生時代に『秋刀魚の味』(小津安二郎監督)の撮影で、出演者の杉村春子の付き人として訪れた過去を明かし、「あんまりNGばかり続くので、うちのトップはなんて下手なんだと大変僭越(せんえつ)ながら思っていました」と発言。周りをあ然とさせると、「役作りについて何か意識されたことは?」との質問には「“鉄の女サッチャー”に負けないように演じました」と回答。大いに会場を沸かせていた。
そんな樹木と、今回初共演となった宮崎。その感想について「日によってサイズが変わるんです。(役柄の)年齢が若い頃は、シャキッとしているんですが、おばあちゃんの年齢になっていくと、体も小さくなっていって、お顔も変わってくる。サイズが変わるのはすごいなって思いました」と話し、感動しきり。
一方、『EUREKA』以来12年ぶりの共演となった役所については「(当時は)自分も子どもだったので分からなかったんですが、改めてご一緒してみると、色気を感じることがすごく多くて、とても色っぽい方なんだなと思いました。私のなかでは、ちょっと遠い親戚の叔父さんみたいな感覚があったので、今回またご一緒できて嬉しかったです」とコメント。
これを聞いた役所は「色気があるって言ってくれるだけで十分ですね」とニンマリ。しかし、樹木からは「全然(色気を)感じなかった」との声が上がり、「樹木さんには伝わらなかったみたいですね」とボヤいて会場の笑いを誘っていた。
この日は、春分の日を翌日に控え、お彼岸にちなんで井上靖が愛した“塩おはぎ”が登場。しかも、重さ5kgという巨大サイズのおはぎに、宮崎、菊池、ミムラは「すごいですね!」とビックリ。だが、樹木は「何の意味があるのか」と冷ややかな対応で笑いを誘いつつも、「まあ、ともかく写真を撮りましょう」とせかしてフォトセッションに応じていた。
『わが母の記』は4月28日より全国公開される。
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