昨年12月に61歳にしてこの世を去った森田芳光監督の遺作となった『僕達急行 A列車で行こう』。この映画の初日舞台挨拶が3月24日に渋谷TOEIで行われ、キャストの松山ケンイチ、貫地谷しほり、村川絵梨が登壇した。
松山は「本当だったら初日の舞台挨拶ですから、ここに森田監督がいてもおかしくない。(いないのは)すごく残念ですけど、作品には監督の大事なメッセージがこもっていると思うし、僕自身もすごく感じました」と挨拶。劇中で貫地谷と村川演じる女性から好かれる役を演じたことについては「すごく光栄です」と話した。
その松山とは、本作が2度目の共演となる貫地谷は「前回、松山さんと共演したのがすごく衝撃的だった。テスト撮影を普通にやっていたんですけど、ある瞬間、いきなり『わかった!』って言ったんです」と松山の動物的な感性を暴露し客席を沸かすと、「何か本能的に役を掴んでいて、すごく素敵だなって思った」と続けた。
さらに貫地谷は「当時は現場であまり話をしなったですよね?」と松山に同意を求めたが、松山からは「でも、電車に乗って一緒に帰ったことありましたよね」という返答が。貫地谷が「えっ、ありましたっけ?」とつぶやくと、松山は「僕はすごくよく覚えていますよ。隣同士でなくて、対面(といめん)みたいな感じで座った。そこまで覚えています」と明かし、観客を笑わせていた。
この日は作品に絡めて、司会から「電車に乗って旅したい場所は?」との質問が。村川が「いい季節ですから、何に乗っていても結構気持ち良くなりますね」と答えると、貫地谷が「花粉ない方ですか?」と質問。これに村川が「花粉の方ですか?」と再質問する場面も。
その村川は「伊豆急行が大好きで、オーシャンビューですごい素敵なので、この季節はそういうのに乗って伊豆のあたりに行きたい」と話し、貫地谷は「いつもロマンスカーのCMにグッと来てしまうので、箱根に行きたい」とコメント。次いで同じ質問をされた松山は「僕は2人の話を聞いただけで十分です。旅行している場合じゃないんで、今」と主演中の大河ドラマ『平清盛』の撮影で大わらわなことをぶっちゃけ、登壇者と会場を爆笑の渦に巻き込んでいた。
最後に松山は森田監督について「『椿三十郎』のとき、人間がまじめに生きているところに生まれてくる笑いを捉えていきたいから、人を笑わせようとする寒い演技はやめてくれと言われたのが印象的。監督の演出に追いつくのに精一杯で、追いつけなかったという申し訳ない気持ちもありますが、まさかこんなに早く亡くなると思っていなかったので。まだある、まだあると、そういう風に思いながらやっていたので」と残念がり、「1つひとつのカットを楽しんで、人とコミュニケーションするのも楽しんでいた。本当に人が好きなんだなって思わせてくれるような人でした」と振り返っていた。
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