『フタリノセカイ』W主演の2人が語るトランスジェンダー&シスジェンダーを演じる難しさ

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映画『フタリノセカイ』イベント試写会舞台挨拶の様子
(C)2021 フタリノセカイ製作委員会

片山友希と坂東龍汰が12月6日、都内で実施されたW主演映画『フタリノセカイ』のイベント試写会舞台挨拶に飯塚花笑(いいづか・かしょう)監督と共に出席。本作の撮影などを振り返り、イベントを盛り上げた。

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坂東龍汰「難しい役だなと感じました」役作りの過程明かす

本作は、トランスジェンダーとして葛藤する彼とその彼女(シスジェンダー)の2人の10年間の軌跡を描いたラブストーリー。出会った時から互いに惹かれあった、ユイとトランスジェンダーの真也。恋愛し、いずれ結婚して家族をつくり、共に人生を歩んでいきたいという願いをもつフタリがその願いを叶えるには、ひとつひとつクリアしなくてはならない現実があった。時にすれ違い、別々の道を歩むが再び出会ったフタリ。愛を確かめあい、ある決断をする。それはもしかすると常識を越えているのかもしれない。だが、安らぎに満ちたフタリには、確かに感じる未来があった…、というストーリーが展開される。

飯塚監督は、本作の製作の経緯について「私自身が20代半ばの頃に脚本を書き始めて、当時周りの人間が結婚や出産といった人生の節目になる方が多くなってきて、僕自身がトランスジェンダーでパートナーとの間に結婚できないとか子供ができないという問題に直面した時に、それでも幸せになることは可能なのか不可能なのかすごく考えることがあってこういった映画が誕生しました」と話した。

本作のオファーを受けた際を振り返って片山は「台本を読んだときに、ユイの立場を理解しなければならないという気持ちがまずあって、お芝居というよりは、ユイの事を頭でしっかりと理解し、演じるということに凄く責任を感じました」とコメント。実際に監督が持っている診断書や、実際のトランスジェンダーのカップルにお話を聞いて役作りに励んだという。

坂東は「正直、難しい役だなと感じました。監督と最初にお会いした時に、“真也の身体を体感してほしい”と言われて、実際にエピテーゼという胸をつけてみてどう感じるか、ブラジャーみたいなものをつけて外に出てみて実際にどう感じるかを経験してみるという作業をクランクイン前に経験させていただきました」と明かした。

片山友希「こういう愛の形があるということを知っていただければ」

撮影中の“迷い”を問われて片山は「自分がそのセリフの気持ちを理解できないとセリフが覚えられないんですが、真也の母親に怒るシーンの時に恋人の母親に怒る気持ちが理解できなくて。すると監督が“一番理解していると思っていた人が一番自分を理解してくれなかったことに怒ってください”と言われて凄く腑に落ちてセリフが言えるようになりました」と述懐。

同じ問いに坂東は「初めに自分がトランスジェンダーであることをユイに告白するシーンですね。準備はしていたつもりだったんですけど、難しくて。監督はずっと感情を大切にして演じてほしいというのを撮影前からおっしゃっていたのですが、自分の中で迷いや不安がたくさんあって、なかなか初めは真也の感情までたどり着くことができなかったですね」と振り返った。

最後に片山は「今、日本で夫婦別姓や同性婚を認めるという動きがある中でこの状況で公開するのはすごくタイミングに恵まれている映画だなと思っています。私はこの映画を通して“知る”ということの大切さを改めて実感したので、たくさんの人にこういう愛の形があるということを知っていただければ嬉しいです」とメッセージを送った。

坂東は「脚本を初めて読んだ時に、監督はこの作品を通してLGBTQの人の辛さを伝えたいのではなく、そういう状況に置かれながらも愛を探していく究極のラブストーリーでもあるということだと受け取りました。いろんな愛の形があっていいし、カテゴライズできないもの、個人の自由があるということを前向きに背中を押してもらえる作品になっていると感じました。このコロナ禍で、社会が動いて人の興味が変わっている状況でこの映画が公開されるのはすごく意味のあることだと思います」と述べた。

映画『フタリノセカイ』は2022年1月14日より全国順次公開。