アカデミー賞受賞作『グラディエーター』を彷彿させる古代ローマの街並み、その人混みの奥から古代ローマの衣装をまとった阿部寛が登場。まったく違和感なし。それなのに……、阿部の仲間と思しきローマ人(どうみても日本人)がちょっと時代がかった日本語で話しかけてきたぞ! 彼らは裸のローマ人でごった返す大浴場に移動するが、相変わらず日本語だ。何だこれ、『グラディエーター』の日本語吹替え版みたい。この珍妙なオープニングが可笑しくて、『テルマエ・ロマエ』の世界に引きずり込まれてしまった。
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本作は、古代ローマを舞台にしたコメディ漫画の実写映画化だ。阿部寛演じる浴場設計技師ルシウスが現代の日本の銭湯にタイムスリップし、そこで目にした日本ならではの温泉文化を古代ローマで模倣したところ市民に大好評、時の皇帝ハドリアヌスの目に留まるという話だ。
この映画の最大の魅力は、彫の深い顔立ちが古代ローマの彫像のような阿部寛がルシウス役を演じていることをはじめ、私たちが「いかにも」と思う事柄をこれでもか、とばかりに見せつけてくれることだろう。阿部を筆頭に、ローマ人役には市村正親、北村一輝、宍戸開といった濃い顔がズラリ。演技もまた然りで、阿部はいい意味で型にはまった熱演で笑わせてくれる。主役以外で特に印象的だったのが、女好きの時期皇帝候補ケイオニウス役の北村だ。女を抱き寄せながらチュッチュッと歩いているかと思えば、突如その女をマネキンかなにかのように乱暴にどけてしまう仕草など、いかにも軽薄な悪い男っぷりだ。
一方、ルシウスを唸らせた日本の風呂文化として登場するのは、富士山の壁絵、脱衣籠、ケロリンの黄色い桶、フルーツ牛乳と、「銭湯って言ったらコレだよね」というアイテムばかり。これらを古代ローマの大浴場に取り入れた結果が、なんだか現代の日本のレジャー温泉施設みたいだというのもまた一興。
それにしても、なぜ人は「いかにも」なものを見たがり、それを見て喜ぶのだろう。例えば、松田聖子にはいつまでも“いかにも聖子ちゃん”な曲をフリフリ衣裳で歌ってほしい、というのと似ている気がする。この映画を観て、「ザ・定番」がもたらす共感と安心感、幸福感についてちょっと考えた。
『テルマエ・ロマエ』は4月28日より全国東宝系にて公開される。(秋山恵子/ライター)
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