井上靖の自伝的小説を映画化した『わが母の記』。この映画の初日舞台挨拶が4月28日に丸の内ピカデリーで行われ、役所広司、樹木希林、宮崎あおい、南果歩、ミムラ、菊池亜希子、原田眞人監督が登壇した。
本作は、母との微妙な距離感を感じながら年を重ねてきた主人公の作家・伊上洪作が、父の死をきっかけに、再度母と向き合い、家族の愛や絆の大切さに気づかされていく姿を描いた感動作。
主演をつとめた役所は、28日付で学術・芸術の分野で大きな功績を残したことを評価され、紫綬褒章を受章したばかり。「公開のおめでたい日に、こんなに素晴らしい賞をいただいて、これまで仕事をしてきたスタッフ、キャスト、そして、今回の『わが母の記』のみなさんのおかげだと思います」と感謝の言葉を述べると、場内からは大きな拍手が巻き起こった。
役所の受章に登壇者たちも喜びを分かち合う。娘役を演じた宮崎は「役所さんとは約12年ぶりの共演でしたが、また同じ現場でお仕事ができることを幸せに思います」と笑顔を見せ、母親役を演じた樹木は「(実際に)こういう息子がいたらどんどん働かせようと思います」と樹木ならではの表現で祝福した。
また南やミムラ、菊池も口を揃えて「久々にみなさんにお会いして(役所を中心とした)伊上家の一員になれたことに感謝しています」と表情を崩し“家族の絆”がテーマの作品同様、キャスト・スタッフのチームワークの良さを垣間見せていた。
本作は、第35回モントリオール世界映画祭の審査員特別グランプリを受賞するなど海外でも高い評価を得ているが、原田監督は「認知症という重いテーマですが、劇中には笑いもあります。そういう部分が(海外では)受け入れられたのでは」と分析。
そんな原田監督に役所は「監督とは若いころに出会い、ずっと仕事をしていきたいと思っていました。お互い年をとりましたが、これまでとは違い、また新しい作品が出来上がったと思っています」と信頼を語りつつ、「昨年の3月10日にクランクアップした映画です。翌日が東日本大震災でした。この映画には、いろいろな意味で、美しい日本の風景が映っています」と作品を力強くアピールしていた。
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