フランスの鬼才が神的少女ジャンヌ・ダルクを映画化、新たな挑戦としてミュージカルを選んだ理由とは?

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ブリュノ・デュモン監督

フランスの鬼才、ブリュノ・デュモンのジャンヌ・ダルク2部作『ジャネット』『ジャンヌ』が1211日より公開中。ムビコレでは、デュモン監督のインタビューを掲載中だ。

・『ジャネット』『ジャンヌ』ブリュノ・デュモン監督インタビュー

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「映画制作の新たな冒険として、これまで経験のなかったミュージカルに挑んでみたかった」

ジョルジュ・メリエス、カール・テオドール・ドライヤー、オットー・プレミンジャー、ロベルト・ロッセリーニ、ロベール・ブレッソン、リュック・ベッソンなど、錚々たる映画監督にインスピレーションを与えた存在といえば、“フランスのヒロイン”ジャンヌ・ダルク。

これまで『ユマニテ』(99年)や『フランドル』(07年)といった一筋縄ではいかない作品を発表してきたデュモン監督は、「ジャンヌ・ダルクの生涯を語ることは、フランスとは何かを語り、それを聞かせることに他ならない」と、本作の題材である“ジャンヌ・ダルク”についてこう語る。

そんなデュモン監督は今回、映画の表現方法としてミュージカルという手法を選んだ。その理由について聞かれると、「映画制作の新たな冒険として、これまで経験のなかったミュージカルに挑んでみたかったからです。音楽というのは強烈で、圧倒的なもの。だからこそ、素直に音楽を軸に映画を作ったら面白いだろうと思いました」と話してくれた。

本作は、カトリックの詩人で思想家であるシャルル・ペギーの劇作「ジャンヌ・ダルク」と「ジャンヌ・ダルクの愛の秘義」を原作に作られた2部作だ。「初めてミュージカルを作ろうと思い立ち、それに合う理想的なテキストを考えていた時、自然とペギーが頭に浮かび、彼の戯曲「ジャンヌ・ダルク」を台本にすることを思いついたのです。前作『ジャネット』はジャンヌの子ども時代についての映画であり、原作は戯曲の第一幕『ドンレミ』ですが、続編となる『ジャンヌ』では『闘い』と『ルーアン』の2幕を翻案しました」と話すデュモン監督。

ペギーの詩をミュージカルとして表現することで、「すべてがシンプルで親しみやすく、より軽くなった」という。さらに、ミュージカルの要とも呼べる音楽について、「いかにもペギーの作品に合いそうな悲愴感のある音楽は使いたくありませんでしたし、いわゆる現代音楽は私にはピンときませんでした。それよりも、芸術的な音楽スタイルと、語られていることの間で呼応する音楽を探したいと思った」とデュモン監督は語る。

陶酔するトリップするような、反復する音楽性があるエレクトロニック・ミュージックがふさわしいと考え、『ジャネット』の音楽には、デスメタルやバロック音楽などを取り込んだ楽曲で知られるIgorrrを起用した。振付はアルベールビル冬季オリンピックの開・閉会式の振付でも知られるフィリップ・ドゥクフレ。インタビューでは、ドゥクフレとの仕事についてや、配役についても詳しく語られている。ブリュノ・デュモン監督のインタビュー全文はこちらから。