国連本部でプレミア上映された話題作『プラスチックの海』教育用DVD発売&シンポジウム開催
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海がプラスチックであふれている…人間は何ができるのか
2020年11月に劇場公開後、各地で自主上映会の続いている映画『プラスチックの海(原題:A PLASTIC OCEAN)』が、昨今の海洋プラスチックゴミ、マイクロプラスチックに関わる深刻な問題を、学校の授業などで多くの子どもたちにも届けたいという思いで短縮版(22分)の日本語吹替版が製作された。
多くの科学者や識者が警鐘を鳴らす、海洋プラスチック問題。年間800万トンものプラスチックが海に捨てられているという。その大半は海底に沈み、海面や海中を漂うプラスチックも永久に分解されず、マイクロプラスチックとなって食物連鎖の一部になっていく。
プラスチックゴミによる海洋汚染の実態とは?そしてプラスチックが海に、プランクトンに、クジラに、海鳥に、人体に及ぼす影響とは……。
シロナガスクジラに魅せられ、幼い頃から追い続けていたクレイグ・リーソン監督。しかし、世界中の海を訪れる中、プランクトンよりも多く見つけたのはプラスチックゴミだった。
美しい海に、毎年800万トンものプラスチックゴミが捨てられている事実を知り、海洋学者、環境活動家やジャーナリストたちとともに、自身が監督となり世界の海で何が起きているのかを調査し撮影することを決意する。
21世紀に入り、生産量が激増しているプラスチック。
便利さの一方で、大量のプラスチックが海に流出し続け、近年は5ミリ以下の「マイクロプラスチック」による海洋汚染にも大きな注目が集まっている。
調査の中で明らかになるのは、ほんの少しのプラスチックしかリサイクルされていないこと。
海鳥の体内から、234個のプラスチックの破片が発見されるなど、海に捨てられたプラスチックで海洋生物が犠牲になっていること。そして、プラスチックの毒素は人間にも害を及ぼすかもしれないこと。
撮影クルーは世界中を訪れ、人類がこの数十年でプラスチック製品の使い捨てを続けてきた結果、危機的なレベルで海洋汚染が続いていることを明らかにしていく。
同作には、デイビッド・アッテンボロー、シルビア・アール、タニヤ・ストリーター、バラク・オバマほかが出演。海とともに生きる全人類必見のドキュメンタリーだ。
2022年1月より、学校の授業などで何度でも使用可能な教育機関用DVDの販売が開始される。
このDVDには『プラスチックの海』100分版(日本語字幕)、22分版(日本語字幕)、22分版(吹替版)が収録されている。
映画『プラスチックの海』教育機関用DVDは、2022年1月4日から全国で発売される。現在予約受付中だ。
同作のDVDジャケットは、プラスチックフリーで、少しでも環境負荷の少ないもので作製したいとの思いから、ケースは紙製のものを特注し、内面のDVD取り付け部分には水溶性樹脂製(生分解性)のクランプを採用した。
発送時にもできるだけ簡易な包装で届ける予定だという(商品詳細:https://www.cinemo.info/86d1e)。
教育機関用DVDは、小中高校大学専門学校等の教育機関で使用可能のDVDで、教育目的の授業内の無料上映会に限り、同一学内での上映会開催や、学校図書館での個人貸し出しが可能で、一般図書館も購入できる。
発売記念上映&シンポジウムを1・19にオンライン開催
また、2022年1月19日には『プラスチックの海』教育機関用DVD発売を記念し、ジャーナリストで「追いつめられる海」著者の井田徹治、日本で一番漂着ゴミが多いと言われる対馬で長年フィールドワークを行っている九州大学の清野聡子准教授、自然写真家で海の環境NPO法人「Oceanic Wildlife Society」理事でもある高砂淳二、一般社団法人「Social Innovation Japan」代表理事、「mymizu」共同創設者のマクティア・マリコを招いて、オンラインにて吹替版の上映並びにシンポジウムを開催する(イベント詳細:https://peatix.com/event/3111066/)。
同作のリーソン監督は「米国での使い捨てのプラスチック消費量は1人につき年間約136キロ。プラスチックは丈夫であるが故に優れている反面、最悪な素材でもあります。今までに作られたプラスチックのほぼ全量が地球上に残っています。今や世界での生産量は3億トンを超える状況。プラスチック製品の半分は使い捨てです。2050年には世界人口が約100億人に達しプラスチックは3倍になるそうです」と警鐘を鳴らす。
また、出演した海洋学者のシルビア・アール博士は「私たちはごみをごみ箱に捨てたり、海やビーチに投げ捨てたりします。それで無くなったと見なすのです。海のプラスチックごみは8割が陸からのものです。内陸で出たごみでも海に到達する可能性があります。地球全体が人類の住み家です。ごみを捨てていい所はなく、ごみからは逃げられません。海は自分1人の庭ではなく全ての生物の庭であり家と同じなんです。海洋は地球にとって支配的な影響力を持ちます。実際は地球の大半は海なんです」と語る。
動物学者のデイビッド・アッテンボロー卿は「地球環境の改善には海洋環境を改善すること。海洋が破壊され機能を果たさなくなれば全生物が危機に陥るだろう」と語る。
フリーダイバーのタニヤ・ストリーターも「私たち人間は、ここ10年で20世紀より多くのプラスチック製品を作っている。そのうち半分の製品は使い捨てと言われているわ 。分解できない素材なのに使い捨てたら、どうなるの?地球は ごみであふれ返り、捨て場がありません。できる限りプラスチックで包装してない食品を買うわ。まずは一般消費者が行動することです」。
同作を観賞した自然写真家・高砂淳二も「地球に心から謝りたくなりました。そして同時に、地球と一心同体の僕ら自身も蝕まれ始めていることも、あらためて実感しました。誰もがすぐできること、それは“プラスチックの海”でまず現状を知ることです」と感想を述べる。
モデル・女優・歌手も土屋アンナも「私は海が大好きです。そして今はフリーダイビングをはじめてもっともっと海を大切にしていきたいと思ってまいす。でもそんな海が私たち人間のせいで悲鳴をあげています! 全人類に見てもらいたい映画です。現実から目を逸らさないで。私たちは大自然によって生かされている事を知って今すぐに行動しよう! 私はやります! 地球は人間だけのものではない! 」と、危機感をあらわにした。
映画『プラスチックの海』教育機関用DVDは、2022年1月4日から全国で発売される。
ジャーナリストとして30年の経験 現在は起業家として活躍
■クレイグ・リーソン監督プロフィール:ジャーナリスト、映画監督、活動家。BBC、CNN、アルジャジーラ、ナショナルジオグラフィック、ディスカバリーチャンネル、Australia’s ABCなどに出演。司会者、ニュースレポーターとして活躍し、ジャーナリストとして30年の経験を持つ。起業家として「Leeson Media International」、「Ocean Vista Films」CEOを務める。「I Shot Hong Kong Film Festival」創設。プラスチック・オーシャン財団エバンジェリスト。1999年からドキュメンタリー作品を製作、2016年公開の映画『プラスチックの海(原題:A PLASTIC OCEAN)』は国内外で15以上の賞を受賞。2017年の国連総会では短縮版(22分)が上映された。
リーソン監督「問題を共有することが政策の転換につながる」
■クレイグ・リーソン監督Q&A
──海洋プラスチックゴミの問題に関心を持った理由を教えてください。
リーソン:海の生き物に興味を惹かれ、海が遊び場であり学び舎になっていたからです。幼い頃から、産業公害が地元の沿岸水域に与える影響を知っていたことが、私自身にも影響を与えました。
──海洋プラスチックゴミ問題が地球規模の問題だと気付いたのはいつですか?
リーソン:2010年、私はそれまで気付かずにいた海洋汚染の原因に気が付きました。それは、長年「使い捨て」だと教えられてきたプラスチックです。それから、私はプラスチックが人間と海洋生物に与える影響を徹底的に研究しました。
──地球規模で対処すべき重要な課題だと思う理由はなんでしょうか?
リーソン:プラスチックは人間が作り出したモノです。自然界にあるべきでない、またどう処理すべきかわからないものなので、堆積し、病のように地球を侵しているのです。地球の資源が持続的に存続するよう回復するよりも早く、私たちはその資源を使い切ってしまっています。海こそが私たちを生かしていると教わった人はごくわずかです。シルビア・アール博士の言うように、「キレイな海がなければ、緑豊かな自然も存在しない」天候、酸素、綺麗な水、食糧、医薬品となるものは海から、もしくは海の恩恵に支えられています。
──『プラスチックの海』を通して成し遂げたいことはなんでしょうか?
リーソン: 問題を知らなければ、何もしないですよね。知ることが、問題に関わることに繋がります。問題を提起することによって、対話が始まり、変化が引き起こされることを望んでいます。協同し機能するような、海洋プラスチックゴミ問題の解決策はすでに私達の周りにあるのです。この問題の情報を共有することこそ、プラスチックの取り扱いに関する公共政策の転換につながります。
──映画制作は監督自身にどんな変化をもたらしましたか?
リーソン:自分も世界の一部だという認識がより強くなりました。実際にプラスチック使い捨て反対のキャンペーンでは、大声を上げて活動しています。気がつくと私はスーパーで精算中の人や、テイクアウト商品を手渡す店員、カフェのオーナーや銀行員、政治家など誰にでもプラスチック製品の使い捨ての悪影響について話しているんです。自然に優しくサスティナブルな投資や、利益が持続可能性や環境への責任に基づいているビジネスに強い関心を抱くようになりました。
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