『シン・エヴァンゲリオン劇場版』興収、シリーズ最高の103億円
21年の年間ランキング1位は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。コロナ禍のなか延期を重ね、3月8日に公開された。月曜が公開日という珍しい興行となったが、熱心なファンが映画館に足を運んだ。
シネコンでの上映回数は通常は1日5回のところ、10回以上は当たり前。15回を超えるシネコンも多くあり、IMAX版、MX4D版、4DX版でも上映された。昨年『劇場版「鬼滅の刃』無限列車編』などの大ヒットを後押しした上映回数増が本作でも見られた。『Q』(12年、53億円)を上回りシリーズ最高興収を記録すると共に、『シン・ゴジラ』(16年、82.5億円)を超えて庵野秀明作品の興収ナンバーワンを更新した。
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2位は『名探偵コナン 緋色の弾丸』。4月16日から公開を始めたが、25日から緊急事態宣言が東京、大阪、兵庫、京都に発令され映画館は休業。昨年のような全国一斉休業ではないものの、人口の多い都市部の休業は興行に影響を及ぼし、8年連続のシリーズ最高興収の記録更新はならなかった。
緊急事態宣言の影響は5位『るろうに剣心 最終章 THE Final』にも及んだ。4月23日から公開され、興収43億円。前2部作の2作目『伝説の最期編』(43・5億円)にわずかに届かず、1作目『京都大火編』(52・2億円)から約10億円ダウン。『~THE Final』の勢いがやや鈍かった影響で、続く『~THE Begining』はトップ10圏外の25億円。シリーズ1作目の30・1億円を下回った。緊急事態宣言下だったのものの、夏映画はヒット作が相次いだ。休業中だった映画館は営業が再開され、座席を1席ずつ空けてチケットが販売された。
3位、細田守監督の『竜とそばかすの姫』は、『バケモノの子』(58.5億円)を上回り細田監督作品で最大のヒットを記録。4位『東京リベンジャーズ』は興収45億円をあげ、邦画実写最大のヒットを記録した。ただし「夏映画は座席を全て販売できれば、もっと興収を上積みできた」との声が映画関係者から挙がった。
トップ10中、洋画は『ワイルド・スピード ジェット・ブレイク』のみ。座席を1席ずつ空けての販売となった影響からか、シリーズ最高記録更新とはならなかった。だが、昨年の「TENETテネット』(27・3億円)を上回り、コロナ禍後に公開された洋画で最大のヒットを記録した。(文:相良智弘/フリーライター)
[2021年公開作 年間ランキング]
1位『シン・エヴァンゲリオン劇場版』103億円
2位『名探偵コナン 緋色の弾丸』77億
3位『竜とそばかすの姫』66億
4位『東京リベンジャーズ』45億
5位『るろうに剣心 最終章 THE Final』43億
6位『新解釈・三國志』40億
7位『花束みたいな恋をした』38億
『マスカレード・ナイト』38億
9位『ワイルド・スピード ジェット・ブレイク』37億
10位『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』36億
(ムビコレ調べ。20年12月から21年11月に公開された作品が対象。なお『ARASHI』の興収は12月19日時点)
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