現在公開中の『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』のトークイベントが7月31日に角川シネマ有楽町で行われ、国際的な人権NGOであるヒューマン・ライツ・ウォッチの日本代表で弁護士でもある土井香苗が登壇、ビルマ(ミャンマー)の実情や映画について語った。
・[動画]『The Lady』ジャパンプレミア/リュック・ベッソン監督、ミシェル・ヨー
同作は、アジア女性として初めてノーベル平和賞を受賞したアウンサンスーチーの半生を描いた作品で、ミシェル・ヨーが主演、リュック・ベッソンが監督をつとめている。土井は「史実に忠実に描かれていると思う。ビルマは2011年の夏頃から改革に動き出したんですけど、この映画はその前の一番暗い状況のときに作られた映画だと思います」と、そのリアルさに太鼓判を押した。
土井は謎めいた独裁者タン・シュエについても解説。「(北朝鮮の)金正日と並んで評されるのが(ビルマの独裁者だった)タン・シュエで、彼の方が(金正日より)外に出てこないので謎に包まれた独裁者だったと言われていました。今はトップから退きましたが、外国人が大嫌いで記者にも会わないし映像も出てこないし。残虐な独裁者で、首都移転など占いでいろいろなことを決めたりしていたようです」。
さらに「一番最近の世界の独裁者ランキングでは1位が金正日で2位か3位がタン・シュエ。独裁者の上位はアジアの人が多いですね。なので、独裁者に囲まれた孤島が実は日本だということですよね」と、日本を取り巻く状況も説明した。
また、88年と07年のデモの違いについて「88年のデモでは数千人が殺されましたが、07年の方が死者が少なかった。この映画でもビデオジャーナリストのことがクローズアップされていましたけど、みなさん、携帯電話を使ってその場で写真を撮って世界に発信していたので(犠牲者が少なかった)。ビルマは本当に情報統制が厳しく、ジャーナリストがビデオを撮って海外に送るのは命がけなんです。その命がけのおかげで、07年のデモの状況を(我々が)知ることができたんです。さすがの軍事政権も、死体を転がすというわけにはいかなかったんですね」と話していた。
映画の主人公であるスーチー女史については「(民主化の)キーになるのは2015年の総選挙。選挙が公正に行われ、その結果を今の政権が尊重するかどうかが最大の懸念であり課題」とコメント。日本の役割についても「日本政府はビルマの軍事政権のサポーターだったので、発言に重みがある。しかも、日本という国はふだん、あまり何も言わない国なので、たまに言うと驚かれる。我々の税金を使って支援しているんですから、(ビルマの)政府を支援するだけでなく、その国の人々を支援するよう我々が日本政府に言い、それによって日本の政府が動けば、(ビルマの人々も)自由をつかむことができると思います」とも教えてくれた。
『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』は角川シネマほかにて全国公開中。
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