映画『桃源郷的娘』の公開直前トークイベントに小宮孝泰、川越ゆい、永里健太朗、太田慶監督が出席。本作にまつわるトークで会場を盛り上げた。
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太田慶監督「エロスと死が濃厚に描かれている」川端康成の『眠れる美女』をモチーフにした理由語る
本作は、川端康成の『眠れる美女』をモチーフに、アナーキー老人の爆走する性と妄想力を描いた艶笑コメディ。鈴木清順や神代辰巳へのオマージュなど“日活愛”あふれる本作は、カナザワ映画祭2018「期待の新人監督」に正式出品され、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019で北海道知事賞を受賞した。
老浮浪者が、公園のベンチで居眠りしている娘に恋をした。だが、浮浪者はすでに男性機能を失っていて娘を抱くことができない身。生涯の恋を叶えるために浮浪者が思いついた突拍子もないアイデアとは? そして「寝ているだけでお金持ちになってステキな彼氏ができる」ことを夢見る「お気楽娘」を待ち受ける摩訶不思議な運命とは…、というストーリーが展開される。
本作で『眠れる美女』をモチーフにした理由を聞かれた太田監督は「『眠れる美女』はエロスと死が濃厚に描かれています。本作はエロコメディにしようと思ったんですけれど、私はコメディは、チャップリンなど、笑いだけでなく哀愁がある作品が好きで、哀愁のあるエロコメディが作りたいと思った時に、川端康成の『眠れる美女』がいいのではないかと思いました」と経緯を説明。
男性機能を失った男の悲哀・葛藤を描く本作について小宮は「この話題をすること自体がお恥ずかしいし、私は下ネタが得意なわけではないんです。ぶっちゃけて言うと、妻を9年前に亡くしているんですが、それ以降いい歳してからなかなかモテないんですよね。この映画をやるちょっと前くらいにいい感じになって、これに似たような経験になったんですけれど、お相手の方が色んなことを優しくしてくれたので、このことは身に沁みています。そういう実感はありました。それでも頑張ってやろうという老人の夢みたいなエロスも自分でも感じます。自分の実体験を混ぜてのことだと考えていただいてもけっこうですし、本作ではそれに抗うように色々やるので、その関係性が面白いと思います」とぶっちゃけトーク。
川越は、本作の企画を聞いて「最初は『寝てるだけでいいんで』と言われてたんですけれど、寝ているのも大変で、本当に寝てしまったこともあって。どの角度で寝るのが1番美しいんだろうというのは、人生で考えないじゃないですか。美しく寝ている姿をどう表現するかというのに葛藤しつつ、寝ている演技の大変さを知りました」とユニークな体験談を話した。
小宮は、男性機能を失った男が葛藤するシーンでアドリブを連発したそう。「いよいよ理想の女性である彼女に行き着きまして、寝ているところでHしようとする。はっきり言って法的にまずいですよね。儀式ばろうと、きっちり正装しようと思って、自前で紋付き袴を用意しました。台本には『立つんだ、ジョー!』とあったんですが、これだけだとギャグ的にも弱いと思ったので、その時思いつくまま、一人芝居でジョーの方の役もやったんです。上映を見てお客さんがどういう反応をするかが楽しみです」と話した。
川越も「リハーサルの時点でやばいんですけれど、毎回ちょっと変えてくるんで、頰がどうしても緩んでしまって。『川越さん、寝てるんだから笑わないで』と言われたんですが、むずーと思いました」と撮影エピソードを披露した。
永里は、妄想のシーンで、川越とベッドシーンならぬ布団シーンが。「川越さんが寝てらっしゃるので、自分でNG出さないようにだとか、カメラがこっちから撮るから、自分の腕で隠さないようにだとか、逆に自分の後頭部で隠すようにだとかで一杯一杯でした」と話し、小宮も「エロの場合は、普通の映像作品と違うもんね」と共感していた。
『桃源郷的娘』は1月22日より全国順次公開。
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