魂に触れる120分の旅『名付けようのない踊り』…田中泯の生き様映すショットの数々
犬童一心監督が世界的なダンサーとして活躍する田中泯の踊りと生き様を追った映画『名付けようのない踊り』が、1月28日に全国公開される。このたび、メイキング写真と場面写真が公開された。
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このたび公開された撮影風景のメイキング写真と新たな場面写真は、それぞれの場所でのダンスや土地の空気を感じさせるショットの数々。
フランスのポワチエでの場面写真では、教会の階段の前で軽快なステップで踊る田中の姿に、たくさん の聴衆の視線が引き寄せられ、夢中になる様子がうかがえる。聴衆や踊りと共に映し出される雰囲気は、まるで見ている我々もそこにいるような感覚になる。
フランスのモンパルナス墓地での写真は、田中の踊りに強い影響を与え、映画のタイトル『名付けようのない踊り』の由来にもなった、哲学者ロジェ・カイヨワの墓前での1枚。墓に名前は彫られておらず、アンモナイトの化石がはめ込まれている。花を捧げ、静かに佇む田中の後ろ姿が印象的だ。
海に近い街、ポルトガルのサンタクルスでは、岩の間で海に向かって踊っている姿が収められているが、この街はかつて作家の檀一雄が住んでいたことがあり、俳優の高倉健もドキュメンタリー番組で訪れたことがある場所。
日本各地での場踊りも収められている本作品だが、今回公開された場面写真には、愛媛県松山市と福島県浪江町での写真も。
聴衆に囲まれながら踊っている愛媛県松山市での1枚は、晴れやかな空の下、下駄を叩きながら空に手を広げ、宝厳寺に向かってゆっくりと踊る田中を切り取っている。本編ではこのシーンの後に、咲き乱れたツツジ、そこに顔をうずめる田中の映像が続く。
一方、帰還困難区域である福島県浪江町のショットは、震災前に六百戸以上の家々があった請戸の震災跡地を静かに見つめる田中の姿を映し出す。本編では今も続く除染作業の音が響いている。
田中泯と共に旅するような新感覚映像体験
本作品は、1978年にパリデビューを果たし、世界中のアーティストと数々のコラボレーションを実現するなど、現在までに3000回を超える公演を実現してきた田中泯のダンスを、『メゾン・ド・ヒミコ』への出演オファーをきっかけに親交を重ねてきた犬童一心監督が、ポルトガル、パリ、東京、福島、広島、愛媛などを巡りながら撮影し、『頭山』でアカデミー賞短編アニメーション部門に日本人で初めてノミネートされた山村浩二によるアニメーションなども交えながら描いたドキュメンタリー作品。
74歳のときポルトガル・サンタクルスの街角で踊り「幸せだ」と語る姿は、どんな時代にあっても好きなことを極め、心のままに生きる素晴らしさを気付かせてくれる。同じ踊りはなく、どのジャンルにも属さない田中のダンスを間近に感じさせながら、見る者の五感を研ぎ澄ます新たな映像体験をもたらしてくれる。
『名付けようのない踊り』は、1月28日に全国公開される。
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