高橋惠子が23年ぶりに主演をつとめた『カミハテ商店』。この映画の完成披露舞台挨拶が10月16日に渋谷ユーロスペースで行われ、高橋惠子、あがた森魚、高橋の夫でプロデューサーをつとめた高橋伴明(以下、伴明)、山本起也監督らが登壇した。
本作は、自殺の名所である断崖絶壁の近くで、古い商店を営みながら孤独を抱え、ひっそりと暮らす初老の女性・千代が、見知らぬ訪問者たちとの交流のなかで、少しずつ心に変化を来していく姿を綴ったヒューマンドラマ。
主人公の千代役を演じた高橋は「実年齢よりも老けている、初老の女性役を演じさせていただきました。現場では、いかに老けた顔にさせるか試行錯誤しました。メイクでは暗い色を顔に塗ったり、普段とは真逆のことをしました。だから、撮影後にメイクを落とすと毎日若返った気分になれるんです」と挨拶。次いで伴明に「あ、そうだ。私、聞きたいことがあります。この作品で、この初老の女性役に私を起用した理由は何ですか?」と質問。
これに対し伴明は「いやあ。もろもろの条件を鑑みると、一番頼みやすかったというのが一番の理由」と苦笑混じりに返答。高橋は「諸・条・件?」と納得いかない部分もあったようだが、「でも、どういう動機であれ、この役は嬉しかったです。こういう役はありそうで今までになかったので貴重です。これからの私にとって大事な作品になります」と話した。
また、夫婦での撮影現場について伴明は「私は付き人のような役割で。映画の現場で仕事としてやったことは、車止めと、火を起こすことと(焚火)、付き人です」と苦笑い。高橋は「私のことを気遣ってくれて。撮影に出かける前に、ポットに入った温かいお茶を持たせてくれたりして。こんなこと、結婚して初めてですよ」と振り返った。
最後に高橋は「私や主人公の千代さんと同年代の50〜60代の方々、そして若い世代の方に見てほしいです。人と人との触れ合いがどれだけ大切かを感じていただける作品。映画を見ながら、何かをしみじみ感じたい方に、ぜひお薦めしたいです」と作品をアピールした。
『カミハテ商店』は11月10日よりユーロスペースほかにて全国順次公開となる。
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