“子どもの誘拐”と聾唖の主人公、アイロニー込め描いた狙いは? アジア映画賞席巻した話題作監督が語る

#ホン・ウィジョン#声もなく#韓国#韓国映画

(C)2020 ACEMAKER MOVIEWORKS & LEWIS PICTURES & BROEDMACHINE & BROCCOLI PICTURES. All Rights Reserved.
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闇の仕事を請け負う口のきけない青年と誘拐された少女の邂逅を描き、アジア・フィルム・アワードで2冠(主演男優賞・新人監督賞)に輝くなどアジアの各映画賞を席巻したサスペンス『声もなく』が公開中。ムビコレでは、ホン・ウィジョン監督のインタビューを掲載中だ。

・『声もなく』ホン・ウィジョン監督インタビュー

「犯罪映画にはあまりない淡々とした日常的なトーンを使うことで、より極端なものにしたかった」

貧しさゆえ犯罪組織からの下請け仕事で生計を立てる口のきけない青年テインと相棒のチャンボクは、身代金目的で誘拐された11歳の少女チョヒを預かる羽目になり、期せずして誘拐犯罪に巻き込まれていく。犯人と人質という関係でありながら、社会に居場所を持たない彼らは、いつしか疑似家族のようになっていくが、彼らの誘拐は予測不可能な事態へと向かっていく。

本作品を作るにあたり、「子どもの誘拐という非常に重いテーマ」をどう違和感なく表現するかに時間をかけたと話すウィジョン監督。「現実的で恐ろしい表現ではなく、皮肉を込めて心地よく表現したかったんです。凶悪な犯罪ではなく、社会的な意識に焦点を当てたかった。主人公たちは客観的なモラルの代わりに自分の基準で生きてます。あわただしい現代生活の中で、善悪の判断を捨てていく彼らの姿は、私たちをも象徴していると思います」。

ウィジョン監督は、いかに皮肉(アイロニー)を込めて表現するかに拘ったという。「犯罪映画にはあまりない淡々とした日常的なトーンを使うことで、より極端なものにしたかったんです。登場人物の日常生活を観察していると、何気ない瞬間にアイロニーが垣間見えるようなものを目指しました」とウィジョン監督。

重いテーマでありながら楽しげな雰囲気の作品になったのも、ウィジョン監督の狙いだ。「重いテーマに重いスタイルで臨まなければならないこともありますが、私自身は困難な状況を直接的にではなく、象徴的に表現することが多いです。観客を退屈させてしまうようなシーンを避けつつ、メッセージをしっかりと伝えたいと思いました」。

最後に、「人は生きていくうちに決断を迫られることがあります。この映画の中で、彼らが状況をよく理解せずに行動せざるを得ないシーンが、皆さんが自分の人生を考える上での一種の慰めになればと思います」と語ったウィジョン監督。インタビューではほかにも、登場人物についても語られているのでぜひチェックしてほしい。ホン・ウィジョン監督のインタビュー全文はこちらから!

INTERVIEW