三浦友和、「我が子の旅立ちが誇らしい」…『ケイコ 目を澄ませて』ベルリン国際映画祭正式出品で

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ケイコ 目を澄ませて
(C)2022 映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

三宅唱監督2度目のベルリン国際映画祭出品

聴覚障害の元プロボクサー・小笠原恵子の自伝「負けないで!」を映画化した『ケイコ 目を澄ませて』が22年中に公開されるが、2月10日からドイツで開催される第72回ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門への正式出品が決定。あわせて新しい場面写真が公開された。

・三浦友和、聴覚障害のプロボクサーと向き合い、自分は視力を失っていく…実話ベースの物語

ベルリン国際映画祭アーティスティック・ディレクターのカルロ・シャトリアンは、本作品を「無駄なものを削ぎ、私たちの社会の中心に横たわる何か、つまりすべての人が限界を超えてでも自分を表現できる可能性を描いた映画」と分析。

「主人公・ケイコの強さと、彼女の演技の緻密さに心を動かされ、田舎ではなく都会でもない、輪郭がぼやけ始める町を舞台に繰り広げられる人間の生活や、ドラマの語り口に強く訴え掛けられ、驚かされました」と選出の理由を語る。

聴覚障害の主人公・ケイコを演じた岸井ゆきのは、「映画が好きで、すがりついて、幾度となく救われてきました。その舞台に俳優として立てるということ、言葉では言い表せない熱いも のがあります。ひとまず、嬉しくて嬉しくて溢れんばかりの感謝となみだ。海を越えて言語を超えて、皆様に届きますように」とコメントを寄せた。

ケイコを支えるジムのトレーナーを演じた三浦友和は、「小さな作品がベルリンに旅します。監督とスタッフ、出演者。我が子の旅立ちを誇らしく送り出します。より大きく育って皆さんに見て頂けるよう願っています」と作品にエールを送った。

このたび公開された場面写真は、冒頭に掲げた、二人三脚でトレーニングに励む主人公・ケイコ(岸井)とジムのトレーナー・笹木(三浦)の2人を切り取った一枚。セコンドの指示もゴングの音も聞こえないケイコの強いまなざしが印象的なケイコと、ケイコの実力と可能性を誰よりも信じる笹木の言葉を超えた交流がうかがい知れるショットとなっている。

聴覚障害のボクサーとトレーナーの絆を描く実話ベースの物語

本作品は、13年までに4戦を戦った元・プロボクサー・小笠原恵子の実話から着想を得て生まれた物語。生まれつきの聴覚障害と付き合いながらプロボクサーとなった主人公・ケイコの実力と可能性を誰よりも信じるトレーナー・笹木、そしてその思いに応えるように“目を澄ませて”鍛錬を重ねるケイコ──言葉では語りつくせない、確かな絆で結ばれたふたりの関係が、静かに描かれる。

メガホンを取った三宅唱監督は、「国際映画祭とは、普段は異なる環境や言語で生きる人々が共に、スクリーンに映るもう一つの宇宙をはじめてみつめる、出会いや遭遇の場でもある」と前置きした上で、「製作中からたくさんの新たな出会いに恵まれました。このたび初上映となる機会に冠された『エンカウンター』という言葉に、良い縁を感じています」と期待を寄せた。

本作品が正式出品される「エンカウンターズ部門」は、20年より新設されたコンペティションで、新しい視点を含む大胆な作品や革新的な監督の発掘に重きを置き、優れたインディペンデント作品や多様性のある物語が選出される。本作品が受賞すれば、同賞初の日本人監督の受賞となる。

また、三宅監督は、19年に『きみの鳥はうたえる』が第69回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品されており、監督作としては2回目のベルリン国際映画祭への出品となる。

『ケイコ 目を澄ませて』は、22年中に公開される。