倍賞千恵子、近未来の“姥捨て山”に「最初はひどい話だと思ったのですが…」

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(C)2022『PLAN75』製作委員会 / Urban Factory / Fusee
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もしも高齢者が自死を選ぶ“権利”を制度として認めたら…映画『PLAN75』

75歳以上の高齢者が自死を選ぶ権利を保障・支援する社会を描いた映画『PLAN75』が6月より全国ロードショーされることがわかった。

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主人公の角谷ミチを演じる倍賞千恵子は、脚本を読んだ時を振り返り、次のように本作品について語った。

「最初は“酷い話”だと思って脚本を読み始めたのですが、物語の終盤でミチがある選択をし、窓から太陽の光を浴びるというシーンが描かれており、そこにものすごく心打たれ、惹かれて……それだけで出演を即決しました。早川千絵監督はとてもバイタリティのある方。脚本もご自身で書かれているので、強い思いを持っていらっしゃると思います。時折、ふわっと羽ばたくように近寄ってきてシーンや役の説明をしてくださると、ミチの気持ちがスッと入ってきて心が深くなり、役が立ち上がってくるような気がしてとてもありがたかったです。『PLAN75』のような社会があってはならないと思うし、決して良いことではありません。私自身、この映画の撮影中はもちろん、家に帰ってからもいろんなことを考えさせられることが多々ありました。でも、やって良かったなと思っています。皆さんにもこの映画を見ながら、自分の命や愛、生活などいろんなことを考えていただきたいです。きっとこれからの人生に役立つでしょうし、考えながら最後まで見てもらえると嬉しいです」

共演には、本年度日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した俳優の磯村勇斗、『燃えよ、剣』やNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』のたかお鷹、映画『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』の河合優実、『メランコリック』のステファニー・アリアン、ドラマ『あなたの番です』の大方斐紗子、俳優・演出家として活躍する串田和美らが顔を揃える。

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倍賞との初共演を果たした磯村は、「目で芝居をすることを意識しました。直近で演技を拝見し、同じ時間を共有させていただけたことは光栄でした」と明かす。

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河合は、「ミチとの電話でのやり取りのシーンを本読みした際、倍賞さんの声を聞いて、自分が思っていた以上に心が動きました。言葉で言い表すのがもったいないような、訳もない感動でした。いま倍賞さんに感じさせていただいたことをそのまま大切にして撮影現場に行けば大丈夫だと、心から思えた貴重な時間になりました」と語る。

長年温め続けてきた企画で念願の長編映画デビューを果たした早川監督は、次のように訴える。

「私たちは今、“生きる意味”やら“生きる価値”なんてことについて、いちいち説明を求められるような世の中に生きています。自分のことは自分で責任を取るべきという社会の空気に多くの人が追いつめられ、「助けて」と言葉にすることすらためらわれる。「人に迷惑をかけてはいけない」と子どもの頃から教えこまれて育った私たちは、人が無条件に助け合うことが人間として当たり前の姿であるということを忘れてしまっているのかもしれません。この映画は、経済的合理性を優先し、人の痛みへの想像力を欠く昨今の社会に対する憤りに突き動かされて生まれました。倍賞千恵子さん演じるミチという女性の姿を通して、人が生きることを全肯定する。そんな映画にしたいと思っています。倍賞さんはこの映画に命を吹き込んでくれました。いつまでもその姿を見つめていたい。その声を聞いていたい。撮影の間じゅうずっと、倍賞千恵子さんという俳優、その人間性に魅了されっぱなしでした。光と影の中で息をのむほど美しい倍賞さんのたたずまい、その存在自体がこの映画の魅力の一つです。是非映画館の大きなスクリーンで見ていただきたいです」

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・場面写真はコチラ!

 

社会的弱者に向けられるあたたかい視線と「生きるとは何か?」

本作品は、是枝裕和が総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一篇『PLAN75』を新たに構築、キャストを一新して臨んだ早川監督の初長編映画。

国は高齢化問題に対処するため、75歳以上の高齢者に自ら死を選ぶ権利を保障し支援する「PLAN75」という制度を施行。高齢者の間では、自分たちが早く死ぬことで国に貢献するべきという風潮がにわかに広がりつつあった。

夫と死別後、ホテルの客室清掃の仕事をしながら、角谷ミチ(倍賞)は長年1人で暮らしてきた。市役所の「PLAN75」申請窓口で働く岡部ヒロム(磯村)や申請者のサポート業務を担当する成宮瑶子(河合)は、制度に疑問も抱かず業務に邁進する日々を送っていた。

そんなある日、ミチの職場で高齢のスタッフが勤務中に倒れたことを理由に、ミチは退職を余儀なくされる。職を失い、住む場所さえも失いそうになったミチは「PLAN75」の申請手続きを行うか考え始め──。

年齢で命が線引きされてしまうことの恐ろしさとそのようなシステムを生み出してしまう社会構造や人々の意識への痛烈な批判を込め、生きるとは何かを問いかける。

『PLAN75』は、6月より全国で公開される。

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