映画を見る際に重要なのが、描かれている物語なのは当然。でも、そこに惹かれるキャストがいるかどうかも大きな要素だ。ミュージカルとして世界最大ロングラン記録を誇る「レ・ミゼラブル」が映画になった。主要キャストの来日も大きく取り上げられ、ニュースを目にした人も多いだろう。
もともとのミュージカルが大人気な上に、ハリウッドを代表する美男美女スターが出ている『レ・ミゼラブル』。ここでは物語やメインキャスト以外のイケメンをご紹介させていただく。
本作にはタイプの全く違うふたりの魅力的な青年が登場する。まずはエディ・レッドメイン(30)。主人公ジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)が引き取ることになる薄幸のヒロイン、ファンテーヌ(アン・ハサウェイ)の娘コゼット(アマンダ・セイフライド)と恋に落ちるマリウスに扮している。
学生運動に身を投じているマリウスは、カタブツでそれまでに色恋話には縁のなかった青年。傍らにはマリウスを慕うエポニーヌ(舞台版でもエポニーヌを演じたサマンサ・バークスが扮している)がいるのだけれど、まるで眼中になし。そんな彼がコゼットに一目で恋してしまう。正直、個人的には、街中でもパッと目を惹く清楚で華やかなコゼットに一瞬で恋し、近くで彼を思い続けるエポニーヌには目もくれないことには、エポニーヌ目線になってしまって切なさ爆発。だが、まぁ、コゼットがあまりにも美しいので、これも止む無しと言わねばなるまい。
さて、このマリウスを演じるエデは、正統派の二枚目ではない。ただ、母性本能をくすぐるオーラを放ちまくりなのである。近年では『マリリン 7日間の恋』が印象的で、マリリンに淡い恋心を抱く青年を繊細に演じていた。
『レ・ミゼラブル』は、芝居部分がほぼ皆無で、全てが歌によって進められる。その歌も、スタジオ収録ではなく、撮影現場で生録音したこともすでによく知られているが、エディの美声にはビックリ! ミュージカルの舞台経験もあり経歴からすれば当然なのだが、ちょっとヤワなお顔から超絶歌声が放たれる姿には度肝を抜かれて、さらに胸がキュン(死語ってことは承知です)としてしまう。コゼットと互いの想いを確かめ合う「心は愛に溢れて」は特に必聴だ。
おまけに、彼の歌い方は、自然にさらり系ではなく、口を震わせ胸元を赤らめての熱唱型。その一生懸命さも母性本能に畳み掛けてくるものだから、女性陣には(勝手にだけど)困りものだ。コゼットになって彼に愛をささやかれる気分に浸るのも、エポニーヌになって叶わぬ恋に涙するのもアナタの自由! 妄想全開!
と、ちょっと心を落ち着けて、もうひとり青年をご紹介。こちらはいわゆるイケメン枠に該当するタイプ。学生運動のリーダー、アンジョルラスを演じるアーロン・トヴェイト(29)である。ミュージカルではすでに多くの実績があり、スピルバーグ監督作のミュージカル舞台化「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」では、映画でレオナルド・ディカプリオが演じた役で主演をつとめている。つまりは、歌には何の心配もない。加えて、この容姿。今後、映画界へ進出してくることは必至だ。
アンジョルラスに恋物語はなく、ひたすら革命に生きる。だがそれがまた、かえって女性層をトリコにする。現実を憂いて理想を熱く語り、未来のために立ち上がるリーダー。いや、ホレます。
ジャン・バルジャンを主人公としながらも、その人生で出会う多くの人々の思いが伝わる『レ・ミゼラブル』。予告編でもすでに話題のアン・ハサウェイによる「夢やぶれて」は確かに圧巻。だがレミゼはそれだけでなく、すべてが名曲ばかり。マリウスとアンジョルラスが歌う楽曲(アンド彼ら自身)にも心を揺さぶられるぞ!(文:望月ふみ/ライター)
『レ・ミゼラブル』は12月21日よりTOHOシネマズ 日劇ほかにて全国公開される。
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