ソ連崩壊前夜に起きたストと市民への銃撃……愛娘はどこへ消えた

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4月8日から全国で公開『親愛なる同志たちへ』ポスタービジュアル (C)Produced by Production Center of Andrei Konchalovsky and Andrei Konchalovsky Foundation for support of cinema, scenic and visual arts commissioned by VGTRK, 2020
『親愛なる同志たちへ』ポスタービジュアル
(C)Produced by Production Center of Andrei Konchalovsky and Andrei Konchalovsky Foundation for support of cinema, scenic and visual arts commissioned by VGTRK, 2020

アカデミー賞ロシア代表『親愛なる同志たちへ』4・8公開

第77回ヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、第93回米アカデミー賞国際長編映画賞・ロシア代表に選定された『親愛なる同志たちへ』が4月8日から、全国で公開されることが決定し、あわせてポスタービジュアルが公開された。

・日本とミャンマー、5000キロを超えて繰り返される悲劇を食い止めようとする若者たち

1962年6月1日、ソ連南部ノボチェルカッスクの機関車工場でストライキが勃発した。

「雪どけ」とも称されたフルシチョフが目指した豊かな共産主義統治にも陰りが見え始め、困窮にあえぐ労働者たちが物価の高騰や給与カットに抗議の意思を示したのだ。

社会主義国家で大規模なストライキが起こったことに危機感を覚えた政権は、スト鎮静化と情報遮断のために最高幹部を現地に派遣、翌日には約5000人の市民への銃撃を開始した。

熱心な共産党員で市政委員も務めるリューダは、18歳の愛娘スヴェッカの身を案じ、凄まじい群衆パニックが巻き起こった広場を駆けずり回る。

三つ編みに青いリボン……スヴェッカはどこにいるのか、すでに銃撃の犠牲者となって“処分”されてしまったのか。

長らく忠誠を誓ってきた共産党への疑念に揺れるリューダが、必死の捜索の果てにたどり着いた真実とは……。

スターリン後の社会に希望を見出し、その世界に疑いを持たなかった1人の女性が知る、残酷な事実。真実の瓦解が起きたとき、人はどう生きるのか、あるいは生き抜くのか、ロシアの巨匠アンドレイ・コンチャロフスキーの答えがここにある。

ロシアの巨匠コンチャロフスキー監督がスリリングに描く

『暴走機関車』(85年)、『映写技師は見ていた』(91年)やタルコフスキー作品の共同脚本などで知られるコンチャロフスキーが監督と脚本を務め、事件を再現するため徹底して細部にまでこだわり、サスペンスとアクション、そして心理表現を巧みに織り交ぜ、リューダがたどる激動の3日間をスリリングに描出した。

事件から60年が経つ現在も、香港やミャンマー、ウイグル地区など民衆弾圧事件は絶えない。この不穏な世界情勢と地続きにあり、決して遠い過去の話と言えない重いメッセージをはらんだ同作。ソ連解体から30年、まさに「今」見るべき作品が誕生した。

今回、公開されたポスターでは、主人公リューダの印象的な眼差しと「私は信じていた――」というコピーが見事に組み合わされ、モノクロームの美しいデザインに仕上がり、観る者を惹きつける内容に仕上がっている。

『親愛なる同志たちへ』は4月8日から、全国で公開される。