驚きのタイムトラベルもの『LOOPER/ルーパー』が公開中だ。物語自体、これまでにない出来でチェック必至なのだが、それと同等に驚きなのが、キャスティング。ブルース・ウィリスとジョセフ・ゴードン=レヴィットが、2人1役で主人公ジョーを演じているのだ!
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今回の注目俳優はレヴィットくん。すでに31歳なので“くん”付けするには年齢がいっているが、それでも永遠の青年でいて欲しいと願いたくなる存在。映画ファンにはお馴染みの俳優だとは思うが、あえて取り上げさせていただく。というのは、「今まで“くん”付けなんてしていてゴメンなさい。レヴィットさん」と、ついつい言い直してしまいそうな作品になっているからである。
冒頭にも書いた通り、『LOOPER/ルーパー』ではレヴィットとウィリスが現在の自分と未来の自分を演じる。時は2044年。現在のジョーは、タイムマシンが誕生している未来2074年から転送されてくるターゲットを処刑する“ルーパー”として、ヤクに溺れながら惰性ともいえる日々を生きていた。未来ではタイムマシンは法規制されており、使用しているのは犯罪組織。生命管理によって殺人が不可能になったために、殺したい標的を過去へと送ってくるのだ。
そんなとき、ジョーの前に、30年後の自分がターゲットとして送られてくる! 相手が未来の自分であろうと処刑は絶対命令。しくじれば、今の自分が組織に殺される。そしてジョーはしくじってしまうワケであります、ハイ。で、今の自分の命を守るために、未来の自分の命を狙うことになると。自分vs.自分! なんともユニークな設定で、SF好きの食指も動かすのに十分。さらに後半の展開も本作は独自路線を走る。ほのかな恋愛要素を絡め、ラストには切なさまで……。男女どちらにもオススメできる作品なんである。
そのオススメ作品で主人公を演じるレヴィット。最近では『インセプション』『ダークナイト ライジング』と、鬼才クリストファー・ノーラン監督との仕事が記憶に新しい。でも彼の魅力を堪能できるのは、やはり『(500)日のサマー』や『50/50 フィフティ・フィフティ』の自然体オーラ全開の作品だ(ヘヴィメタ野郎を好演している『メタルヘッド』なんかもあるが)。過去にはヒース・レジャーと共演している『恋のからさわぎ』でも、可愛らしい姿が拝めますヨ。
さて、『LOOPER/ルーパー』に意識を戻していただいて。みなさん、お気づきのようにウィリスとレヴィットは、全くもって、似ても似つきません。ファンからすればウィリスとのふたりひと役は、際どい挑戦かも(それはウィリスのファンに失礼か)。だが、本作での選択は間違いなく彼の俳優人生にプラスになる。
『LOOPER/ルーパー』でのレヴィットが新鮮なのは、これまでにないキャラクターを演じたことではない。特殊メイクをしているとはいえ、ウィリスのクセやしぐさなどを研究し、徹底的な役作りをしてみせたことにある。『LOOPER/ルーパー』は、俳優レヴィットのターニングポイント作品になる。断言しよう!(文:望月ふみ/ライター)
『LOOPER/ルーパー』は丸の内ルーブルほかにて全国公開中。
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