ロジャー・ミッシェル監督の遺作『ゴヤの名画と優しい泥棒』

今年9月に逝去した『ノッティングヒルの恋人』のロジャー・ミッシェル監督の長編遺作『ゴヤの名画と優しい泥棒』が2月25日より公開される。このたび、掃除婦姿のヘレン・ミレンの新たな場面写真や、ヘレンとロジャー監督のコメントが公開された。

・前代未聞の名画盗難事件の裏話…“実話”を描いた、ウソのようなホントの話。

これまで『クィーン』のエリザベス女王、『RED/レッド』の元凄腕殺し屋、『グッドライアー』では最恐の悪女を演じ、「英国人が選ぶ40歳以上で最もおしゃれなイギリス人セレブ」の1位に選ばれたことがある76歳のヘレン。

今回公開された場面写真は、エプロン姿で掃除機をかけ、スポンジで暖炉を磨き、雇い人のドレスの着替えを手伝う家政婦の姿を捉えた一枚だ。

ヘレンは脚本と自身の役どころについて、「愛情あふれる脚本に魅せられました。私は60年代という時代も大好きなんです。私が演じたドロシーという女性は、地に足が付いた人。夫のケンプトンは夢想家だけど、いろいろな意味でとても献身的で勇気がある人だと思います」と分析する。

さらに続けて、「ケンプトンだけでなく、ドロシーの態度も見習うべきですよね。夢を見るのはとて もいいことだけど、月々の支払いは待ってくれない(笑)。だから、現実的な生活をしている人たちの声も聞くべきなんです」と語っている。

本作品は実話に基づいており、ケンプトンに関する情報は数多あれど、ドロシーについては写真1枚しか残っていなかった。その写真を見たヘレンは、キャラクターになりきるためには肉体改造が必要だと感じていた。

これについて、昨年9月に逝去したロジャー監督は生前、「ヘレンがドロシーになりきる準備をしていたことにとても驚きました。彼女は、まったく何の気負いもてらいもなく、自分を変えていったんです。観客は彼女がやったことに驚くはずです」とヘレンの変貌ぶりを称えていた。

一方、ヘレンはロジャー監督について、「この映画の物語には、彼の優しさ、素晴らしいユーモアのセ ンスそのものが反映されていると思います。物語と彼自身が真に融合していたんです」と回想している。

ジム・ブロードベント&ヘレン・ミレンの夫妻役の存在感!

物語の舞台は、世界中から年間600万人以上が訪れる13世紀後半から20世紀初頭までの2300点以上の貴重なコレクションを揃え、「英国の至宝」と称えられる美術館・ロンドン・ナショナル・ギャラリー。この美術館で、1961年、最大の画家と謳われるフランシスコ・デ・ゴヤの「ウェリントン公爵」が盗まれた。

長い歴史の中で唯一にして最大の盗難事件の犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。彼は、ゴヤの絵画を“人質”に取り、イギリス政府に対して身代金を要求。テレビが唯一の娯楽だった時代に、その身代金を寄付してイギリスの公共放送であるBBCの受信料を無料にすることで、孤独な高齢者たちの生活を助けようと行動を起こしたのだ。

しかし、事件にはもう一つの隠された真相があった。約50年後に明かされる、イギリス中を巻き込んだ“優しい嘘”とは一体……?

『ゴヤの名画と優しい泥棒』は、2月25日より公開される。

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