山田洋次監督と久石譲の巨匠2人が音大生250名を前に映画音楽談義

久石譲(左)と山田洋次監督(右)
久石譲(左)と山田洋次監督(右)
久石譲(左)と山田洋次監督(右)
久石譲(左)と山田洋次監督(右)
ピアノを演奏する久石譲
ピアノを演奏する久石譲

山田洋次監督が小津安二郎監督の名作『東京物語』にオマージュを捧げた『東京家族』。1月19日に封切られ、現在大ヒット公開中のこの映画のトークセッションが国立音楽大学で行われ、山田監督と本作で音楽を担当した久石譲が登壇した。

山田洋次監督最新作の音楽を久石譲が担当、「大変、満足している」と山田監督

250名の学生たちが待ち受けるなか、登場した山田監督は「音楽大学は憧れの場所です。ここでどんな授業が行われているのか、想像するだけで夢のようです」と挨拶。久石は「今日は映像と音楽の話で、授業じゃないから興味深い話ができると思う」と話した。

その久石は、映像音楽の世界に入ったきっかけを聞かれ、「食べるためですかね(笑)。年間300本以上映画を見ていたので、1番好きな音楽と、大好きな映画の仕事ができるからかな」と回答。映像音楽の魅力については「思い通りにいかないところ。今でも思い通りにいかない」と語った。

また、『東京家族』で山田監督と初タッグを組んだことについて久石は「映画監督も音楽家も呼吸が合うかが大事。『東京家族』はある意味重くて、素晴らしい作品。個人的にはとてもプレッシャーがありました」と感想を述べると、山田監督も「作曲家と組んでやるのはとても大変。お見合いのようなもので、どういう人と組んでやるかというのはとても気を使う。緊張しました」と振り返った。

さらに久石は、『東京家族』の音楽に関して山田監督から「空気のような音楽、雰囲気を邪魔しないような音楽と言われていました」と指示されたことを明かすと、その真意について山田監督は「カメラだけ、演技だけ、音楽だけが素晴らしいというのではなく、映画全体でアンサンブルを作り上げ、観客の心の中にスーッと吸い込まれていくような作品でなければいけないと思っています」と説明した。

一方、久石が「いろいろなテクノロジーが流行るのはいけど、ダウンロードした音楽などはあくまで情報。情報には感動がありません。映画もやっぱり映画館で見るからこそ感じるものがあると思います」と持論を述べると、山田監督も「安っぽく感じるものは全て情報だけで成り立っている。映画は全てのショットが情感を持っていなくてはいけないと思います」と語っていた。

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