かつて、フランス映画界においてリュック・ベッソン、ジャン=ジャック・べネックスと共に“恐るべき子どもたち”と呼ばれたレオス・カラックス監督が、1月28日にユーロスペースで、新作『ホーリー・モーターズ』の来日記者会見を行った。
カラックス監督は、1983年の『ボーイ・ミーツ・ガール』で長編監督デビュー。ついで『汚れた血』(86年)、『ポンヌフの恋人』(91年)を発表し、この3作はいずれも主人公の名前がアレックスなことから「アレックス3部作」と呼ばれている。
その後、99年には長編4作目となる『ポーラX』(99年)を発表しているが、以降は、短編オムニバス映画『TOKYO!』の1編『メルド』を監督してはいるものの、『ホーリー・モーターズ』は実に13年ぶりの長編監督作。それだけの時間が経ってしまった理由を問われると「私は神様ではないので分かりませんが、長い間が空いてしまったことには様々な理由があります。自分が作りたいときに作りたい方法で映画が作れるわけではないのです」と説明をはじめた。
曰く「『ポンヌフの恋人』を作った後、次回作を作るのが難しい状況になってしまい、続く『ポーラX』は大失敗でしたから、さらに映画作りが難しくなってしまいました」とのこと。また、「映画を作るには健康が必要ですし、2、3人の共犯者やお金が必要です。これらがいつも同時に揃うとは限りません。確かにもっとたくさん映画を作りたかったと思います。80年代に3本作り始め、その後10年ごとに3本作ったとして、10本程度は作っていたかった。けれど、そうした多作な映画作家にはなりませんでしたし、次回の長編映画まで14年かかるかは、自分でもわかりません」と語った。
また、アレックス3部作で主役のアレックスを演じ、本作でも主人公を演じているドニ・ラヴァンとのなれそめについては「彼と出会ったのは互いに20歳のときでした。私たちは同い年で、背丈も同じくらいです。ドニ・ラヴァン起用で3部作を作りました。それから20年ほど経って再びこの映画で仕事をすることになったわけです」と説明。
続けて、この映画の前に作ろうと思っていた映画が作れなかったことを明かすと、「すぐに撮影をしなければ自分の頭がおかしくなってしまうという気持ちになり、どのように早く撮影をすれば、映画が完成するという確信を持てるかを考えました。そのためにはまずパリで撮影すること。低予算であること。ビデオ(デジカメ)で撮影すること。ラッシュを撮影中に見ないこと。そして、最後に必要だと思ったのがドニ・ラヴァンを主役に迎えることでした。なぜならドニは私がよく知っている俳優であり、彼に対してなら、すべて要求できるとわかっているから。脚本を書くときに、ドニであれば、自分の空想を制限する必要がないのです」と話した。
一方、実生活ではあまり交流がないそうで、「30年前から仕事での付き合いはあるけれど、1度しか夕食を共にしたことがありません。それも、『TOKYO!』の撮影中に東京の街で雨が降っている夜に偶然出会ったから食事をしたという1回きりです。ですから本当の意味で彼と話し合ったことがない。30年間知っている人と本当に話し合ったことがないというのはとても不思議なことですが、それこそ彼と私の関係に似つかわしいと思います」と話していた。
『ホーリー・モーターズ』は4月よりユーロスペースほかにて全国順次公開となる。
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