菅直人元首相が原発事故の問題点を改めて指摘/『フタバから遠く離れて』トークショー

菅直人元首相(左)と舩橋淳監督(右)
菅直人元首相(左)と舩橋淳監督(右)

福島原子力発電所の事故により町ぐるみの避難生活を余儀なくされている福島県双葉町の住民たち。いつ帰れるとも分からない不安を抱えながら生きる彼らに9ヵ月に渡り密着したドキュメンタリー『フタバから遠く離れて』が再上映され、それを記念して行われたトークショーに菅直人元首相と舩橋淳監督が登場した。

『フタバから遠く離れて』予告編

町民たちが避難した埼玉県の旧騎西高校を訪れたことのある菅は「当時のことを思い出しながら見た。当時は避難者のバックグランドまでは知らなかったけれど、映画にはそれが映っていて、言葉では言い表せない思い。原発事故は時間が経っても緩和されないと改めて感じた」と語った。

また、帰宅希望者と移住希望者との間で内部分裂が起きていることについても「将来を見出すことができないのは本当に難しい問題。1人ひとりに人生があり、様々な事情を考える必要がある。このような矛盾が起きるのが原発事故なのだと、国民1人ひとりが考え、国も国民に寄り添う形で合意形成するしかない」と、原発事故の大変さ、問題解決の困難を訴えた。

本作は坂本龍一が音楽を担当していることも見どころのひとつだが、イベントの最中には坂本が企画する反原発音楽フェス「NO NUKE2013」の会場とも中継をつなげた試みも。菅は「市民運動と政治活動それぞれが脱原発に向けてできること」を聞かれ「(デモなどの)市民運動を経て、国民は脱原発の方向に向かうことができると思っている。(国は)本質的には有権者である国民の力で動くものだと思う」と回答。「為政者だからなんでもできるわけではない」と、経験者ならではの感想も漏らしていた。

『フタバから遠く離れて』は3月15日までオーディトリウム渋谷にてアンコール上映中。

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