キム・スヒョン×ソ・イェジ、秀逸ドラマ『サイコだけど大丈夫』
精神病棟で保護士として働くムン・ガンテ(キム・スヒョン)は、自閉スペクトラム症の兄ムン・サンテ(オ・ジョンセ)と暮らしている。ある日、施設を辞めさせられた兄を元気づけるために、ガンテは病院で開かれる童話作家のコ・ムニョン(ソ・イェジ)の朗読会でサインをもらうと約束。しかし、そこで患者が騒ぎを起こし、もみ合いになったムニョンはガンテの手を切ってしまう。退職するハメになったガンテは、賠償を申し出たムニョンの絵本の出版社の代表に呼び出され、会いに行くが……。
ほぼ無表情だった2人の関係性に注目!
早くに親を亡くし、兄弟だけで身を潜めるように生きてきたガンテ。ムニョンと出会ったときもほぼ無表情で、笑う時は口角だけが無理やり上がる有様だ。対してムニョンは、幼少期のトラウマが原因で、感情の起伏が激しく、相手の気持ちを考えられないタイプ。そんな彼女が、出版社の代表に呼び出されてやってきたガンテに一目惚れし、ガンガンアプローチするようになる。転職先にまでやってくるもガンテは冷静に拒否。ムニョンがどんな風にガンテの表情、そして心を動かしていくのかに注目だ。
縛られていた3人は、新しい家族になることを決意!
次第にお互いを必要とするようになるガンテとムニョン。2人きりで日帰りで出かけるも、ムニョンの強引さに負けて一泊することになる。次の日の朝、ガンテが野花を摘んでムニョンに渡し、キスするシーンは最高に美しい。ただし、そのことが原因でガンテとサンテに大きな溝ができてしまう。ガンテをムニョンにとられると思いこんだサンテのために、3人で新しい家族を作ろうと提案。名字や戸籍に捉われるサンテに「家族写真を撮れば家族になれる」と言い、3人で写真を撮るシーンも涙なしでは見られない。
驚くほど細いウェストにダイエット欲も倍増!?
ムニョンと出会ったことで、次第に自分を解放していくガンテを演じたキム・スヒョンは、1988年生まれの俳優。2007年のシットコムでデビューし、2011年の『ドリームハイ』でドラマ初出演を果たした。その後は『太陽を抱く月』『星から来たあなた』などの大ヒットドラマのほか映画でも活躍中。一方、クールビューティからやわらかい笑顔が増えていくヒロインを好演したソ・イェジは、1990年生まれの女優。2013年にCMデビューし、『じゃがいも星』で女優デビューを果たした。劇中では独特なファッションを驚くほど細いウェストを強調して披露。彼女を見ているだけで自然とダイエット欲が湧いてくる不思議な魅力の女優だ。
知らず知らずに自分も癒される秀逸ドラマ!
終盤ではムニョンの母にまつわるサスペンスも盛り込まれる本作。各話のタイトルが有名童話をモチーフにしており、ムニョンたちの住む”呪いの城“も含めてその世界観を楽しめる。また、なにより、ガンテとムニョンの心を動かしていくサンテの存在は大きい。「先に目上の人に挨拶しろ」など、当たり前の言葉にもハッとさせられる。大いに笑い、泣き、自然と自分の心もほぐれていく癒しのドラマだ。(文:渡邉啓子/ライター)
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