インド映画『スタンリーのお弁当箱』の完成披露試写会が6月20日にサイエンスホールで行われ、プロモーションのために初来日したアモール・グプテ監督と主演スタンリー役のパルソーくんが舞台挨拶を行った。
本作は、クラスの人気者ながら家庭の事情でお弁当を持ってくることができず、お昼休みはいつも一人ぼっちで水道水を飲んでいるスタンリーが主人公。そんな彼を助けようとクラスメイトたちが自分のお弁当を分けてあげるが、食い意地の張った先生に見つかり、取り上げられてしまった挙げ句、「もう学校に来なくていい」とまで言われてしまう。
「ナマステ」とヒンディー語で挨拶した監督は「日本は最高の食がある国。それを小津、黒澤、溝口、大島といった監督の映画を通して、30年間ずっと見てきました。そんな日本の食べ物を、日本で食べることを楽しみにずっと生きてきたので、今は最高の気分です」とコメント。
監督の実の息子で、本作主演のパルソーくんは「コンニチハ。ボクハ、パルソーデス」と日本語で挨拶すると。「僕も日本に来ることを楽しみにしていました。日本は、お父さんが名前を挙げた偉大な巨匠の国であるし、あと日本のアニメが好きなので」と話した。
また、監督は「子どもの時間を奪って犠牲にすることのないスタイルで撮影に臨みたい」と思ったそうで、学校のない毎週土曜日に集まり、1年半かけて撮影してきたと説明すると、「もう1つのお楽しみは食事ですね」とニッコリ。
「私は食べることが大好きで、食べ物がこの映画の象徴になっています。私には企みがあって、毎週土曜日に集まるから、お母さんにお弁当を作ってもらって来て下さいと伝えたんです。なので私は、集まった子どもたちのお弁当をちょっといただいちゃうことができたんです。おかげさまで20キロ太り、その体重を今も維持しています」とユーモアを交えて話し、会場を沸かせていた。
一方、パルソーくんは、そのユニークな撮影方法について聞かれると「実は映画を作っているとは知らなくて、単にみんなで集まってワークショップをしていて、キャノンの7Dという普通のスチールカメラがあるのも、記録をしているんだろうな程度にしか思っていませんでした」と告白。
さらに「お父さんが、僕にはお弁当を持って行かせてくれなかったんです」と撮影秘話を明かすと、「集まった子どもたちが60人くらいいたので、僕は毎回みんなに分けてもらっていました」と映画さながらのエピソードを教えてくれた。
またこの日は、映画のカギを握る“お弁当”にちなみ、天才料理少女として知られる“こごまちゃん”が巨大手作りお弁当を持って応援に駆け付け、監督親子を喜ばせていた。
『スタンリーのお弁当箱』は6月29日よりシネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開となる。
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