宮崎駿監督にとって、興収155億円の大ヒットとなった『崖の上のポニョ』以来5年ぶりの長編映画となる『風立ちぬ』。この映画の完成報告会見が6月24日にスタジオジブリで行われ、宮崎監督と、主人公・堀越二郎の声を演じた庵野秀明、主題歌を歌う松任谷由実が登壇した。
本作は、ゼロ戦を設計した堀越二郎と、彼と同時代を生きた文学者・堀辰雄の2人の人生を融合させ、技師としての生き方や薄幸の少女・菜穂子との出会いなどをフィクションとして描いた作品。
『ヱヴァンゲリヲン』などで知られる映画監督の庵野は、今回はクリエイターとしてでなく声優として参加。主人公・堀越二郎の声優オファーを最初に受けたときは「冗談かと思った」そうで、「オーディションでマイクの前で台本を読んだら諦めるだろうと思ったら逆で、あんなにニコニコしながら(宮崎監督に)『やって』と言われたら、断れなくなった」とコメント。
宮崎監督から「とても良かったです。嫁には見せられないって言ってましたけど」とバラされると「ラブシーンは恥ずかしいですよ。嫁に見せるのはちょっと……」(庵野)と照れていた。
一方、荒井由美時代のファーストアルバム「ひこうき雲」の表題曲である「ひこうき雲」が、本作の主題歌になったことについて聞かれた松任谷は「12月に公開対談の席で、鈴木プロデューサーから直接オファーをいただきまして、本当に嬉しかったです」と、マスコミも取材に来ている対談の本番中に主題歌のオファーを受けたことを明かすと、映画を見た感想については「本当に感動しました。我慢しても嗚咽が出てしまうくらい」と絶賛。「私がこの歌を作ったのは高校生のときだったんですけど、高校生の時の自分に(この曲が本作の主題歌になるよ)と言ってあげたいですね」と語った。
完成した映画に感動し、涙を流したのは松任谷だけではないようで、作った本人の宮崎監督も泣いてしまった1人。「情けないと思いました。本当にみっともないこと」と泣いたことを詫びると、付き合いの長い庵野から「号泣してました」と言われ、恥ずかしかったのか「号泣はしてない」と言い返すも、「号泣ですよ。ボロボロ泣いていたじゃないですか」と言い込められていた。
その庵野は、クリエイターとしての宮崎について尋ねられ、「業界に入って割とすぐに『ナウシカ』を手伝わせていただき、いろいろと教わりました。僕にとっては師匠ですね。これは言ったもん勝ちなので」と回答。
また、「本作の個人的な感想は?」という質問に庵野は「72歳を過ぎて、ようやく20歳過ぎの映画ができた。これはすごいですね。『あ、宮さん、大人になるんだ』と」と率直な感想を述べ笑いを誘うと、司会を務める中山秀征からの「少し大人になった?」という突っ込みには、「基本的には大人じゃないんです。でも子どもじゃない」と独特の言い回しで宮崎監督の魅力を表現。
そんな2人の関係をどう思うかと尋ねられた松任谷は「そうですね、庵野さんの方が年上のような」と止めを刺し、宮崎監督は「やっと20歳を過ぎたらしい」とポソリ、つぶやいていた。
『風立ちぬ』は7月20日より全国公開となる。
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