まるで現実とリンク…ロシアとの戦いの惨状描いたウクライナ映画2編が緊急上映!
現代ウクライナを代表する映画人・ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督作品の代表作であり日本未配給の2長編『アトランティス』(19年)および『リフレクション』(21年)の緊急上映が決定した。クラウドファンディングを通して上映料から義援金を集め、ウクライナの映画人へ支援を行う。
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ウクライナ侵攻を受けて特別緊急上映が決定
本企画は、発起人である前東京国際映画祭プログラミング・ディレクター・矢田部吉彦が有志を集めて立ち上げ。矢田部は東京国際映画祭在職中にヴァシャノヴィチ監督と親交を深めていたが、今回のロシアのウクライナ侵攻を受けて、『リフレクション』の権利を扱うエージェントからコンタクトがあり、特別に上映許諾をもらい、日本での特別上映会を実施するに至ったという。
『アトランティス』は2019年のヴェネチア国際映画祭「オリゾンティ」部門作品賞受賞、同年の東京国際映画祭「コンペティション」部門で審査員特別賞受賞。
物語の舞台は2025年。ロシアとの戦争終結後のウクライナ東部は荒廃し、地雷原が点在する不毛地帯となっていた。元兵士のセルヒーは戦争で多くを失い、PTSDに苦しむ日々を過ごしていたが、戦死したまま土中に放置されている遺体を掘り出し身元を特定するボランティア活動に参加し、同僚の女性カーチャと出会う、というストーリーが展開される。
ヴァシャノヴィチ監督の最新作『リフレクション』は、2021年ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に選出された。ロシアとの紛争の惨状を、洗練された美学が貫かれた映像で描き出す。
ウクライナ東部での戦線が激化。病院に到着する重傷者の増加を実感していた外科医のセルヒーは、義務感に追われるように自らも志願して戦地へと赴く。ロシアに制圧された地域に入ってしまい捕虜となったセルヒーは、収容所で人間としての尊厳を失わせる肉体や精神の破壊を目の当たりにする…、という物語が繰り広げられる。
今回はクラウドファンディング(https://motion-gallery.net/projects/standwithukraine/)を通して、会場費や字幕制作費などの実費をカバー。プロデューサーに一定額を還元すると共に、募集したお金が上映経費を上回った場合には、ウクライナの映画人をサポートする団体に寄贈。ウクライナの映画製作を後押しする。
ヴァシャノヴィチ監督は、1971年にウクライナ・ジトーミルで生まれ、1995年に撮影監督、2000年にドキュメンタリー映画製作者として、カルペンコ・カリー国立劇場・映画テレビ大学を卒業。2007年にポーランドのワイダスクールを修了。 2012年に『Business As Usual』(オデッサ国際映画祭にて上映)で監督デビュー。 2014年、ミロスラブ・スラボシュピツキー監督の『ザ・トライブ』ではプロデューサー兼、撮影監督を務める。 2019年に監督したディストピア作品『アトランティス』は、第76回ヴェネツィア国際映画祭「オリゾンテ」部門で作品賞を受賞し、その後も世界中で数々の賞を受賞。 2021年に、彼の最新作『リフレクション』が第78回ヴェネツィア国際映画祭の「コンペティション」部門に出品された。
『アトランティス』は3月29日夜(ユーロスペース)および30日夜(ユーロライブ)、『リフレクション』は30日夜(ユーロライブ)および31日夜(ユーロスペース)で上映。
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