【この俳優に注目】精悍なルックスながらも、得難い個性のクセ者俳優
マシュー・マコノヒー
今夏、日本のスクリーンにおける裏ヒーローは間違いなくこの人、マシュー・マコノヒーだ。現在公開中の『ペーパーボーイ 真夏の引力』と『マジック・マイク』で、強烈な存在感を発揮している。
マコノヒーというと、“裸でボンゴ”というネタみたいなイメージが今でも強烈なのではないだろうか。近所迷惑を顧みずに数日間ぶっ通しのパーティを開き、苦情を受けた警察が乗り込むと、素っ裸の彼がボンゴを叩いて踊り狂っていた。その場から大麻が見つかり、所持容疑で逮捕されたのは99年のこと。14年も経って、そろそろほとぼりが冷めたか……という頃に、敢えて『マジック・マイク』で軽くそれを再現してみせる。それがマコノヒーという人の面白いところだ。
彼が演じるのは、フロリダ州の男性ストリップ・クラブのオーナー、ダラス。自身も以前はストリッパーとして人気を博し、今は店のマイアミ移転で事業拡大を狙っている凄腕。開演前のステージに前説として登場し、女性客たちを煽る口調、表情、動きが、もうこれでもかというほどにいかがわしい。映画はチャニング・テイタム扮する人気ストリッパー、マイクが前途を切り拓いていく真っ当な青春映画なのに、結局場をさらうのは、入魂のラスト・ダンスを披露するダラスなのだ。
いかがわしさ、見せ場を奪う演技という点では『ペーパーボーイ 真夏の引力』で演じるザック・エフロンの兄役が、さらに破壊力が大きい。人種差別が引き金になった事件の真相を暴こうとするジャーナリストというと、それこそ出世作『評決のとき』で演じた南部の若手弁護士と重ね合わせたくなるところだが、さにあらず。他人に言えないような裏の顔を持ち、それゆえに醜態をさらす男を文字通り体当たりで演じ、ほんの一瞬ながら、簡単に記憶から消せないインパクトを残している。
精悍なルックスで、当初は第二のポール・ニューマンの呼び声も高かったし、その気になれば、正当派二枚目スターでいけたはず。だが、ハリウッドとは適度に距離を置き、自分のルールで生きる。パッと見れば男前。だが、ジワジワとただ者ではない空気が漂ってくる。そんな得難い個性のクセ者俳優になった。
ちなみに、“裸でボンゴ”については「強盗や女性を投げ飛ばしたりするより、ずっと文明化された行為だと思うけどね。逮捕される前にも500回くらいやってたことだし、今もやってる。窓は閉めるようにしてるけど」と語っている。
現在公開中の出演作はもう1本ある。ジャック・ブラック主演の『バーニー/みんなが愛した殺人者』。殺人を犯しながら、周囲の誰からも愛されている町一番の人気者(ブラック)を追及し続ける野心家の地方検事を演じて、ニューヨーク映画批評家賞、全米映画批評家協会賞の助演男優賞などを受賞している。脱いだら、すごい。いや、服を着たままでも、この男、やっぱりすごいのだ。(文:冨永由紀/映画ライター)
『ペーパーボーイ 真夏の引力』、『マジック・マイク』、『バーニー/みんなが愛した殺人者』は現在公開中。
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