第70回ヴェネチア国際映画祭(8月28日〜9月7日)のコンペティション部門に出品された宮崎駿監督の最新作『風立ちぬ』が、現地時間9月1日夜に公式上映され、スタジオジブリの星野康二社長とヒロイン菜穂子の声を演じた瀧本美織が出席した。
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同日の昼に行われた記者会見では宮崎監督の引退が発表され映画界に衝撃を与えた。翌朝の新聞でも大きく宮崎監督のことが取り上げられ、イタリアの老舗全国紙「CORRIERE DELLA SERA(コリエーレ・デッラ・セーラ)」では監督の顔写真と場面カットが一面を飾り、「ヴェネチアに夢を見せてくれる平和主義なおとぎ話。創造性、夢、愛への讃歌を謳った作品だ。映画のなかで『才能は10年だ』という言葉があるが、彼の場合は例外であろう」と最大の賛辞が綴られた。
また、「エモーショナルで感動的」「過去を見ながら現在と未来に挑む作品。彼の挑戦が勝利を収めたことは、日本の興行収入やベネチアでの拍手を見ても明らか」(La repubblica紙)、「マエストロ宮崎駿の最後の傑作。初めて泣いたという監督の言葉があるが、彼と一緒に私たちも泣いた」(Il Gionrnale紙)など、各紙が高く評価していた。
Palazzo del Cinemaで行われた公式上映では、映画の冒頭にスタジオジブリのロゴマークが出た瞬間大きな拍手が沸き起こったほか、本編上映中には観客からは時折笑いも起きていたが、クライマックスでは涙ぐむ姿もあり、本編が終わりエンディングに主題歌「ひこうき雲」が流れると場内では約5分にも及ぶ嵐のようなスタンディングオベーションが起こった。瀧本も、公式イベント直前に聞かされたという宮崎監督の引退とヴェネチアでの上映という思いで感極まり、大粒の涙を流しながら温かい拍手に応えていた。
7月20日に封切られた『風立ちぬ』は、公開44日目となる9月2日時点で全国454スクリーンで上映され、観客動員は約710万人、興行収入約88億円を超える大ヒットとなっている。また、ヴェネチア映画祭ではコンペティション部門に出品された他の作品に比べて高い評価を獲得しており、アニメーションとしては史上初となる金獅子賞への期待も高まっている。
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