「創作に終わりはありません」ヴェネチア映画祭記者会見で松本零士が熱いコメント
ヨーロッパをはじめ世界各国で人気の傑作アニメーションを3000万ドルの総製作費を費やし映画化した『キャプテンハーロック』。第70回ヴェネチア国際映画祭の特別上映作品に選出された本作の記者会見が、現地時間9月3日にヴェネチアのCasinoで行われ、原作者の松本零士と荒牧伸志監督、ヴォイスキャストをつとめた三浦春馬らが出席した。
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同作は、地球連邦政府に叛旗を翻しながら人類のために戦う宇宙海賊キャプテンハーロックと、無敵の宇宙戦艦アルカディア号に乗り込んだ仲間たちの物語だが、作品に込めたメッセージについて質問された松本は、「少年の頃から、温暖化の問題や資源の掘削などで地球を痛めつけている地球人の行為が地球を破壊的な状況に追い込んでいる、と思っていました。そこから『地球を守る立場で宇宙へ乗り出していくキャプテンハーロック』が生まれ、テーマとして繰り返し描くようになっていったのです」と語った。
さらに荒牧監督も「今、世界中で、特に日本では“少子化”“高齢化”“経済の停滞”“貧富の差”など色々な問題や矛盾が蔓延(まんえん)しています。それを何とか覆せないかと、叛逆のヒーロー“キャプテンハーロック”に(願いを)託し、それに続く若者を描くことで状況が少しでも希望に変わるんじゃないかという気持ちを作品に込めています」と熱い思いを語った。
人間の動きを撮影し、その動画をもとに描き出すモーションキャプチャーという最新の手法で作られた本作。声優としての感想を聞かれた三浦は「難しかったのは、キャラクターの動きを僕自身が演じていないということ。当時、モーションキャプチャーで演じた俳優の気持ちや間の取り方でキャラクターの口が動くので、自分が思い描くセリフまわしや、表現が難しく大変でした。しかし、出来上がった素晴らしい映像に自分の気持ちをいかに、どこまで表現できるか、ということはすごく良い挑戦であり、経験でした」と語り、また「初めての声優挑戦として、このとても大きな作品に関われたこと、そして松本先生が創り出す大きな艦(ふね)に一緒に乗ることができたことを、本当に光栄に思っています」と、参加できた喜びを口にした。
一方、松本は「マンガの世界には国境はありません。地球人として、全人類の立場でこの物語を考えていきました。創作者、作家として夢の10分の1しかまだ自分の思いを描いていません。人が涙を流すのは恥ではない。諦めるのが恥である。涙を流しても歯を食いしばって頑張るんだ、と若い世代に伝えていきたいです」と熱いメッセージ。
今後のビジョンについても「実は、自分のこれまでの作品全部が1つの大きな物語となっている。『キャプテンハーロック』もその1つですが、タイトルを変え、バラバラにして描いていて、最後は1つの大きな物語にしたいなと思っています。『銀河鉄道999』『クイーンエメラルダス』など『キャプテンハーロック』の物語と連携して続いていく物語を描きたいですが、今描いてしまうと、カーテンコールだと思われ、『アイツはそろそろお墓に』と思われてしまいそうなので、今はまだ描きたくありません。その最後は遥か遠い世界だと信じて頑張りたいと思います」とコメント。「創作に終わりはありません」とクリエイターとしての覚悟を口にした。
『キャプテンハーロック』は9月7日より全国公開される。
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